アルコールの摂取にも注意したい。アルコールはリラックス作用があり眠気を誘うが、寝る前に飲みすぎると、刺激物質であるアセトアルデヒドに変わってしまう。アセトアルデヒドには覚醒作用があるため、眠りが浅くなってしまう。
また、アルコールを代謝するためにエネルギーも使うので、朝起きると疲労が残りやすい。寝酒は避け、楽しみたいときにだけ飲むようにするのがお勧めだ。
食事は新鮮な肉や魚、野菜をバランスよく
コーヒーなどに含まれるカフェインは人にもよるが、夕方以降は控えたほうがいいという。
食事は、疲労の原因である活性酸素を取り除く抗酸化力のあるものや、エネルギーを補給できるものを摂取したい。具体的には、肉や魚、野菜の新鮮なものをバランスよく摂る。適度な運動と休養も心がけたい。週単位で自分の生活を振り返り、予定を入れ込みすぎず、休養の時間を確保することも大事だ。
以上のように疲労を回復させるライフスタイルを理解していけば、疲労が慢性化することは防げるという。逆に、ライフスタイルを見直してもとれない疲れがあったら、やはり医療機関を受診したほうがいい。
疲労に対する治療はタイミングと時期、症状によって違う。
「ごく初期の人か、疲労が長引いている人に効果があるのが、保険診療でも使える漢方薬の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。背景に睡眠障害があったら、必要に応じて睡眠導入薬などを処方します。未病レベルで健康を維持するという意味で用いるのであれば、自費診療で、還元型コエンザイムQ10、イミダペプチドやビタミン剤など、抗酸化力とエネルギーを補う薬のほか、睡眠の質を検査して、眠りを良くするメラトニンのサプリメントなどをお出しすることもあります」
(取材・文/伊波達也)
中富康仁医師
2002年、京都府立医大卒。同年より同大学病院精神神経科、関連病院に勤務。04年、同大学大学院で脳科学の研究をおこない、09年、大阪市立大学医学部代謝内分泌病態内科学・疲労クリニカルセンターで疲労外来を担当。14年同院を開業。日本精神神経学会精神科専門医。日本疲労学会研究奨励賞受賞。日本疲労学会評議員。日本医師会認定産業医。
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