BBSの鍛造ホイールが圧倒的な信頼を集める理由 実は日本製、知られざる製造現場に潜入してみた

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複数回プレスされると表面にはあのBBSのクロススポークデザインが顔を見せる。その後、スピニング加工によりリムを形成すると大まかなホイールの成形作業は終わり、そこから熱処理が施される。大きな釜と冷却層で加熱→冷却→加熱と繰り返すことで、金属同士の結びつきを強くするのだが、こちらも鍛造工程同様に加熱/冷却の時間や回数、温度、タイミング、使用する冷却水などにBBS独自のレシピが存在。この作業1つで強さとしなやかさのバランスが変わるそうだ。

最後は機械加工だが、穴あけ加工や表面のデザイン成形、バリ取りなどをロボットが行った後、最後は熟練した職人がすべて手作業で行う。複雑な形状だからこそ人間の手でなければできない作業だそうだ。

レーシングカー用も量産車用も同品質

ちなみにBBSではレーシングカー用から量産車用までまったく同じファクトリー、まったく同じ技術、まったく同じ手で製造される。品質はどのように保っているのかを聞いてみると「すべて同じです。仕様によって分けるとクオリティーを保てなくなってしまいますので……」と。つまり、メジャーなモータースポーツで活躍するあのチームが履いているホイールとわれわれが普通に購入できるBBSホイールは、同じ手間暇とこだわりによって作られていることを意味する。

工場見学に参加したGRコンサルタントに話を聞いてみると、「こんなに手間暇かけて製造しているとは思わなかった」「BBSが高価な理由が理解できた」「今後はお客様に自信を持ってお勧めできる」など、まさに「百聞は一見にしかず」と言った様子だった。

BBS鍛造アルミホイールはほかのアルミホイールと比べると高価だが、実際に使ってみるとその価格に納得できると思う。いや、この違いがわからなければクルマ好きとしては失格かもしれない。大きな機械で繊細な作業、すべての工程のこだわり、そして魂をこめた人の手による仕上げ……と、毎日量産される工業製品ではあるものの、もはや「芸術品」と呼んでもいいレベルである。そんな鍛造アルミホイールが世界の名だたる名車やレーシングカーの足元を支えていると思うと、日本人として実に誇らしい。

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山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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