前述のように、岸田政権は見るのも嫌なくらいのぐずぐずなのだが、自民党にも国民にも、政権が代わるかもしれないという緊張感が漂ってこない。これはひとえに、野党に存在感がないからだ。
野党に存在感がない理由ははっきりしている。野党がバラバラで、政権交代の可能性がまったくないからだ。野党のあまりの力のなさを前提としてだが、岸田首相は局面打開のために解散総選挙に打って出る可能性があるとの声さえあるくらいだ。
連合こそ与党にとっての実質的な最大の支持勢力
野党が、国政選挙でまとまった勢力とならず、選挙による政権交代の可能性を事実上ないものにしている理由に、選挙にあって、野党にとって、なにがしかの票を差配できる協力的団体であり、選挙の手足になることもある、労働組合の上部団体「連合」(日本労働組合総連合会)の存在がある。
「まとまった票」、「選挙の手足」といった選挙における連合の機能は、自民党の少なからぬ議員の選挙において、旧統一協会が果たしてきた役割によく似ている。
旧統一協会に対する自民党の候補者の実感もそうだろうが、たとえ1000票でも、時には100票でも、「票が減る」こと、ましてその票が競合候補に向かう可能性があることは、候補者にとって恐怖だろう。加えて、選挙の手足も重要だ。一般に連合の組織票としてイメージされる数字よりも、その存在感は大きいにちがいない。
ところが、この連合が、有り体に言って共産党が大嫌いであることから、選挙における野党共闘がまとまらない。
しかし、日本共産党を含めて広い範囲の野党をまとめて政策協定を作り、選挙で協力させるのでなければ、国政選挙は少なくとも政権交代のスリルを含んだものにはなりえない。野党共闘を強力に阻んでいるという意味で、今や連合こそが、政府与党にとっての実質的に最大の支持勢力だと言っていいくらいのものだろう。
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