また、旧統一教会系との縁切りは、国会議員、地方議員などに個々の影響が出る可能性があるが、野党が弱いので自民党全体としては問題にならないだろう。
クビになった大臣も、選挙で当選すると「みそぎ」が済んだことになるという奇妙な慣行がこの国にはある。選挙を勝つ実力のある政治家にとって「1回休み」は致命的な問題ではない。
そして、次の選挙で「公認する・しない」、「対立候補を立てる・立てない」といった権限を行使することで、岸田氏は党内での勢力を大きく伸張するチャンスを持てただろう。
「身体検査漏れ」で、旧統一協会との不適切な関係が後から明らかになった議員については、党として厳しく処分するといい。党は(党首も)、有権者にわびる立場でもあるが、同時に、不正な党員を処罰するポジションに立つことが出来る。
おおむねこのようにするしかなかったし、できるだけ早くこうするほうが良かった。
岸田首相を「本気で助けたい人」が不在
実は、先ほど、読者をコンサルタントに、自民党を会社に譬えたのには理由がある。旧統一協会問題は、会社で言うと、かつて問題になった反社会的勢力との問題と同じ構造なのだ。この問題は、個人単位ではなく会社単位で「縁切り」を決意して、実行するしかなかったし、やってみると、所謂「総会屋」がいなくとも、株主総会には何の問題もない会社が今やほとんどのはずだ。
例えば、「反社」の問題について、経営者が「当社の役員、社員は、反社会的勢力と自分の関わりについて情報公開し、個々人が自らの責任において説明責任を果たすことを求めています」と言って、問題が片付いたはずがない。
自民党は、旧統一協会の問題に対して、個々の政治家に責任を押しつけるのではなく、党がまとめて説明責任を引き取って問題に区切りを付けるしかなかったのだ。
1つ不思議に思うのは、茂木敏充幹事長が有名な経営コンサルティング会社のご出身であり、一部には「頭が切れる」との噂があることだ(噂だけかもしれない)。彼は、どうして旧統一協会問題のトラブルシューティングについてアドバイスしなかったのだろうか。
「次は俺だ」と思っていて、岸田首相を助ける気持ちなどハナからないのかもしれない。茂木氏に限らないが、岸田首相を本気で助けたいと思っている人物が党内・政権内にいるように見えない点が気になるところだ。
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