加えて、連合の目指す「政策」について触れると、先日筆者は「新しい資本主義実現会議」第10回の芳野友子委員(連合会長)の提出資料を読んで、絶望的な気持ちになった。
提出資料の1ページ目の中ほどよりやや下の、労働者の転職機会や産業間・企業間の労働移動を巡る検討の中に「労働移動の促進という観点から、解雇規制や労働法制の緩和につながるような議論がなされることがあってはならない」という文章があった。
議論さえ封じようという強い文末にも驚くが、経済の活性化のために必要なのは、労働移動の促進という観点から、解雇規制や労働法制の緩和を考えることそのものだ。
これに対して、議論を封じてでも抵抗しようという点には、連合が、(1)立場の確立された正社員労働者のための団体で、(2)企業から見て解雇の対象とすることが合理的な、いわゆる「働かないおじさん(おばさん)」を守る利益代表にすぎないことをよく表している。連合は、やる気がある有能な労働者のチャンスを奪っているし、日本企業の経営効率の改善を阻害している。
野党の政治にとって、連合依存は大きな問題
企業の現場の「働かないおじさん」は徐々に代謝(同時に退社)されていくとしても、野党の政治にとって連合への依存は大きな問題だ。
自民党が旧統一協会との関係の途絶を目指すのと同様に、(共産党を除く)野党各党は連合との関係に縛られずに政治方針を考えるべきだ。仮に、野党共闘が実現した場合に、連合がいったいどの政治勢力を応援するのかは、けだし見物である。
今回は、日本共産党のあれこれの善し悪しについて踏み込まないが、現実的な政権交代の勢力を作るうえで、共産党も含めた選挙協力とその前提となる政策協定が必要なはずだ。
ところで、旧統一協会は、かつて「国際勝共連合」という政治団体を持っていて、同団体の名前や趣旨に自民党の一部政治家は大いに賛同していたはずだ。労働組合の方の連合はさすがに「勝共連合」とは名乗っていないが、政治的に果たしている第1の役割は反・共産党だ。
こうしてみると、日本の政治は、2つの「勝共連合」が悪くしている。そして、どちらも、政治の側が本気で取り除こうと思うと可能な相手だ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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