常見:より信頼関係が深まったわけですね。そこまで築くために、他にも心がけていたことなどはありますか?
謝:お客様が追い詰められてしまい「もうこれしかないです」という状態をなるべくつくらないことですね。いろいろトラブルが起きても、これができる、これもできる、どれにします?と一緒に相談して決められる関係でありたいと思っています。
顧客と一緒に企てる。市場を創造する、動かす挑戦を
《顧客とは何だろうか。今回の座談会で、改めて考えた。「お客様は神様です」という三波春夫の言葉が独り歩きしているが、顧客もまた私たち同様、ビジネスパーソンである。「神様」と捉えるのは違うし、言いなりになるものよくないし、お金をいただく「売り込み先」と捉えても失礼だ。
今回の座談会からは顧客と一緒に市場をつくる、動かすということを学んだ。最終的な依頼主、発注主は顧客であり、対価を頂くことにはなる。ただ、その関係をこえて、ビジネスパートナーとして市場を創造する、盛り上げていくうねりをバンダイの佐藤さん、富士通の今井さんの取り組みから感じた。
三井物産の謝さんの「お客様を叱ってしまった」というエピソードは字面だけ見ると乱暴に見えるかもしれない。ただ、真剣に顧客のことを思ってこそのビジネスパートナーとしての責任からの言動だろう。このような、ホットでウェットな話はさまざまなことで萎縮、自粛、様子見になってしまう新型コロナウイルス禍後の世界では、特に心に響くものだ。
あなたは顧客とどのような関係を築いているだろうか。顧客と一緒に市場を創ろう、盛り上げよう。5人の仕事論がより深く語られる後編にもご期待いただきたい》
(後編は11月23日公開予定です)
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