常見:とはいえ、地道に足を運ぶこと自体は、営業の基本ですよね。今井さん流の何かがあるのではないかと。なぜ今井さんの提案が採用されたのでしょうか。
今井:チームでとにかく実際に現場に足を運んで、書類の並べ方もひとつひとつ見て、これはどういう時に必要でどういう手順で作業が行われるのか等を細かくヒアリングしました。私たちは、実際にシステムを使う現場の声を何よりも大切にしたくて。そういう生の声に耳を傾け、どうしたらこの環境を変えられるかを開発者含めて真剣に考えました。
常見:お客様に寄り添った、業務の課題に深く踏み込んだ提案ですね。
今井:われわれ富士通は品質には自信があるのですが、開発費に関しては中小のベンチャーさんと比べると正直、高いと感じるお客様もいらっしゃると思います。だからこそ、投資対効果があると判断していただくためには、とにかくお客様に寄り添って、業務の中身、仕組みを知り、ニーズをしっかりくみとって、「任せたい」と言っていただけるまで地道に足を運ぶしかないと思っています。
小さなひとつを変えたことで全体までを変えるお手伝いに
常見:以前からベンダーの中で、「富士通だけは最後までNOと言わない」という評判がありますよね。お客様に言われていることだけでなく困っていることを考え抜いて、最終的にお客様がNOと言いにくい、説得力のある提案をするわけですね。
今井:そうですね(笑)。先程、お話ししたシステムに関しては、後に他の競馬場も含め、全国で使いたいという話になり、さらには全体の運用を変革する話にまでつながりました。当時、私が担当していた時には、そんな大きな未来までは思い描けていなかったのですが、地道な努力で小さなひとつを変えたことによって業界全体の仕組みまでを変えるお手伝いができました。
富士通にはお客様の業界を変えたいという、ずっと抱えている強い思いがあるのです。皆さん、公営競技はやったことありますか?どんなイメージを持たれていますか?
一同:(沈黙し、顔を見合わせる)
今井:ですよね(苦笑)。「ギャンブル」という、ともすればネガティブなイメージをぜひとも払拭したいのです。ですから、競馬に関しても基幹のシステムだけでなく、ファンの方々が使うユーザー目線のサービスの取り組みにも、現在は積極的に対応しています。たとえばSNSと連動した投票の仕組みですとか、これまで我々自身も不得意とされていた分野での新サービスを企画立案して、ちょうどリリースを迎え、業界初の新サービスとして取り上げていただきました。
一部の層には「ギャンブル」という印象を持たれている競馬を、スポーツのひとつとして、皆さんが楽しまれる余暇のひとつとして、思ってもらえるように、それを大目標に日々頑張っています。味のある紙の世界だけではなくスマートなIT化を実現する中で、イメージの刷新に取り組んでいきたいです。
常見:パートナーとして選ばれた理由がわかります。佐藤さんといい、今井さんといい、次々とエキサイティングな話が飛び出しますね。
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