「セレブな街」港区に埋もれる単身高齢者の孤立 正月三が日を「独りで過ごした」が3割超

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2001年に4000人ほどだった港区の一人暮らし高齢者の数は2020年には倍の8000人を超えた。自覚なく認知症が進んでいたり、今回の女性のように日常生活がままならなくなっているにもかかわらず行政の支援を拒もうとする高齢者も少なくない。

相談員が「つながりの維持」を重視するのは、声なき声を拾うため。セレブの街の、知られざる奮闘劇だ。

一人暮らし高齢者の半数は生活保護水準以下

インタビュー/明治学院大学名誉教授 河合克義

河合克義(かわい・かつよし)/明治学院大学名誉教授。1949年生まれ。明治学院大学大学院博士課程修了。著書に『大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立』『老人に冷たい国・日本』など。

高齢者の孤立問題は、私を含め少数の研究者が1980年代から問題提起していたが、「世界有数の経済先進国で孤立や貧困を問題視するのはナンセンスだ」という声に、かき消されてきた。

だが、1995年の阪神淡路大震災の後、仮設住宅で孤立死が相次いだことをきっかけに注目を浴びるようになった。必ずしも震災によって孤立に陥ったわけではない。震災前の周囲とのつながりの度合いが震災によって表出した。それは今回のコロナ禍が高齢者たちの孤立を浮かび上がらせた構造にも似ている。

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