しかもこの欧米3路線はいずれも週5便の運航。「出張のときにちょうど使えないことがある」と前出のビジネスパーソンは言う。海外から、F1グランプリを開催している鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)を訪れるレース関係者も同様のことを口にする。
羽田国際化というもう一つの「大誤算」
もう一つの「大誤算」もある。それは羽田空港の国際化である。羽田は4本目の滑走路がオープンした2010年秋から本格的に国際線の運航を開始。2014年春にはそれまで年6万回だった国際線発着枠が9万回まで拡大した。多くの地方都市と空路で結ばれる羽田の国際化が進むことで、セントレアの存在意義は宙に浮いてしまった。
象徴的なのは全日本空輸(ANA)が、2014年秋に就航した中部-羽田線。ANAは羽田の国際化で欧州や東南アジアなどへの国際線を大幅に拡充したことで、羽田での乗り継ぎ需要が拡大。かつて1982年まで小牧-羽田を飛ばしていたことのあるANAが、32年ぶりに名古屋-羽田線を復活させたのだ。
現在、中部-羽田線はJALが1日2往復、ANAが1日1往復を運航し、羽田発着の欧州便への乗り継ぎを中心に搭乗率は堅調で、セントレアから羽田を経由して海外を結ぶルートが、名古屋在住のビジネスパーソンにとって海外出張の定番の一つになりつつある。
もともと名古屋から東京へは新幹線を使って最短1時間40分台で行ける。12年後の2027年には品川-名古屋間でリニア中央新幹線の開業も控える。欧米へ向かう長距離国際線を展開していくには、セントレアにとってますます不利な環境になる。
セントレアの不振を反映してか、今年3月に中部-ジャカルタ(インドネシア)便の新設を予定していたガルーダ・インドネシア空港は就航を延期。マレーシアのエアアジアXも中部-クアラルンプール(マレーシア)はひとまず運休を決めた。
それでも突破口があるとすれば、LCC(格安航空会社)も含めたアジア路線の拡充かもしれない。
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