中部国際空港、このままではジリ貧だ 低迷続きの10年、何が誤算だったのか

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伊勢湾の海上に浮かぶ中部国際空港(写真:ひ~さん / Imasia)

昨年(2014年)は韓国のチェジュ航空、フィリピンのセブパシフィック航空、香港エクスプレスがセントレアに国際線を就航。JALも中部-バンコクを4年ぶりに再開した。また、正式発表はなされてないが2015年中の就航を目指す新生エアアジア・ジャパンもセントレアを拠点にする可能性が高く、エアアジアXの再開はその後に検討されそうだ。アジアからの訪日旅行客を拡大できれば、国内各都市への乗り継ぎも含めてセントレアの活性化につながる可能性がある。

当初はLCC専用ターミナル建設予定もあったが(現在は凍結中)、現在のターミナル施設は日本国内の空港の中でもレストランを中心に展望風呂や展望デッキなどの充実ぶりが評価されていることも考えると、現行のターミナルを最大限活用する方が望ましいだろう。

名古屋周辺の観光地だけでは厳しい

あとはどのように集客するかだ。名古屋周辺の観光地だけを基準に考えていては厳しいだろう。セントレア自体も2012年3月に「昇龍道プロジェクト」を発足させ、中部9県(富山、石川、福井、長野、岐阜、滋賀、三重、静岡、愛知)が連携し、立山黒部、高山、伊勢神宮、富士山などの観光スポットを巡るプランを推進するプロジェクトを官民で行い、一定の成果を収めつつある。

ただ、それだけでも不十分かもしれない。強みになりえるのは、日本でも屈指の観光地として世界に有名な京都だ。鉄道やバスでの移動を考慮すると、セントレアと京都の距離は、関西国際空港のそれと比べて1時間程度の差しかない。現在、セントレアから京都までの直行バスはないが、もし開設されれば2時間半~3時間程度での移動が可能で、セントレアで入国して京都を目指すという観光ルートの構築はありえる。

日本政府観光局(JNTO)によると、2014年に日本を訪れた訪日外国人客は過去最高の1340万人と約3割増加。政府は2020年の東京五輪開催をにらんで同2000万人への引き上げを目標として掲げるが、その中心となりそうなのは羽田や成田といった首都圏の空港で、セントレアは「スルー」されかねない。

開港10年で成果は出せず、このままではジリ貧だ。セントレアやその関係者にとっては、死に物狂いで活性化策の知恵を絞り、実行していくことが求められている。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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