「スッキリ」終了で遂に訪れたワイドショーの限界 続行する他番組のほうが実は深刻な状況にある
日ごろ各局のテレビマンたちと話している実感として、BPOの審議入りは視聴者が思っている以上にダメージが大きく、事件事故や政治経済なども扱うワイドショーなら、なおのこと。その内容を問わず社内での評価は下がり、よほどの利益を出していない限り、「クリーンさが必要な朝の帯番組にふさわしくない」「イメージが悪くなった古い番組より、新番組に切り替えたほうがいい」という話になりがちです。
そもそもの問題はテレビ番組が「BPOに申し立てられただけでダメージを受ける」「放送の正当性を主張したところで、社内評価や世間の印象が下がることは免れない」という不利な立場に置かれていること。なかでも生放送でさまざまなテーマを扱うワイドショーはリスクが高く、前述したペットサロンのニュースのような独自取材のものほど危うさがあります。
さらに「攻撃を受けやすく、反撃しづらい」という苦しい状況はBPO絡みだけではありません。最近でも裏番組の「羽鳥慎一モーニングショー」でコメンテーター・玉川徹さんの失言騒動があり、「めざまし8」もMC・谷原章介さんの発言がたびたび批判を集めているほか、何かにつけて「印象操作」などと書かれがちなように、ネット上の声が脅威になっています。
安全で結果も出ていた「スッキリ」
より難しさを感じさせるのは、「番組を見ていない人々からも批判されてしまう」こと。番組の内容を書き起こしたネットニュースを見た人々が、「むしろ見ていた人以上に厳しい言葉を浴びせる」というケースが相次ぎ、関係者たちを悩ませているのです。
ただその点、「スッキリ」は他のワイドショーより批判の少ない安全な番組のはずでした。
加藤さんは視聴者目線での発言をベースにしているほか、コメンテーターも芸能人中心で固め、「際どいことを言いそう」な人は起用していません。放送内容も生活情報やエンタメを増やし、主婦層や若い層に向けた明るく楽しいイメージを押し出しています。それでも終了するのはワイドショーという番組ジャンルの危機が訪れているからでしょう。
とはいえ、いまだに連日多くのワイドショーが放送されているのは、「他に成功を見込めそうな番組がない」「新番組のほうがリスクは大きい」という見方があるから。
たとえば今春に「バイキングMORE」(フジテレビ系)が8年間の歴史に幕を閉じましたが、後番組の「ポップUP!」はスタートから終始苦戦。早くも年内での終了と新番組「ぽかぽか」の年明けスタートが発表されています。
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