「スッキリ」終了で遂に訪れたワイドショーの限界 続行する他番組のほうが実は深刻な状況にある

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もともと「生活習慣の一部」という人も多い帯番組は局のブランドであり、「放送期間は長ければ長いほどいい」という見方をされてきました。BPOの審議入りが続いた「スッキリ」に関しても、「17年も続いたからそろそろ次の番組にしたほうがいい」というわけではなく、「それなりにコア層が取れているのだから、続けたほうがいい」という声もあったのではないでしょうか。

その意味で注目したいのは、日本テレビが挙げた「テレビを取り巻く環境やニーズの変化に対応するため」という「スッキリ」終了の理由。本当にこれを追求していくのなら、思い切ったチャレンジが求められるでしょう。

13時間ずっとワイドショーの惨状

日本テレビはマーケティング精度の低い世帯視聴率ではなく、スポンサー評価の高いコア層の視聴率獲得に向けた番組制作を他局に先駆けて進めていました。他のワイドショーがシリアスなニュースばかりを扱い、出演者が厳しい表情を見せる中、「スッキリ」が明るく楽しいイメージを前面に押し出していたのはコア層獲得のためだったのです。

しかし、それでも「視聴率獲得そのものが難しくなっている」という現実からは逃れられません。「見たいときに見たいものを選んで見る」というオンデマンドの習慣は年々高まる一方で、今や中高年層ですら「平日の午前中はワイドショーではなく、録画やTVerなどの配信で番組を見る」という人が増えはじめています。

さらにスマートテレビの普及などもあって、アクティブな人は動画配信サービスやYouTubeなども選択肢に入るなど、「リアルタイムで見なければいけない」という必然性がない番組では勝負しづらい状況になりました。

しかしこの状況は、単に価値観の変化やネットツールの普及によるものではなく、「テレビ業界の自業自得」という印象があります。かつては各局が平日の朝から夕方にかけてさまざまな番組を放送していましたが、2010年代に入ってから「13~14時間ずっとワイドショー」のような横並び状態が続いていました。その理由は視聴率対策や経費削減などの内向きなものばかりであり、視聴者に「どこも同じでつまらない」という印象を与えてしまったのです。

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