もはや患者の「苦痛に寄り添えない」日本の危機 効率化の中で忘れ去られていく「看護の本質」
診療報酬の改訂が、看護師の働き方を変えた
──新型コロナウイルスが医療現場にもたらしたことは、何でしょうか?
川嶋:コロナ以前からある看護の危機について、コロナによって忘れられてしまっていることです。これまで何十年も、看護師は限られた人員で、困難な量の業務をこなしてきたのです。
超長時間・過密労働するなかで人間関係が悪くなり、職場で分断も起きてしまう。人間には、限界があります。看護師の働き方を変えた大きな原因になったのが、診療報酬の改訂です。
──入院日数の短縮化で看護師が失ったものは?
川嶋:入院日数が短いことで、本当に治癒して退院する方が少なくなったこともあり、看護師が自分のケアがどこまでその患者さんに効果があったのかどうか、確信がもてなくなりました。
看護して回復したことで患者さんから「ありがとう」と言われ、「おめでとう」と言って患者さんが退院する。その経験こそが看護師のやりがいにつながるのに、それが奪われているのです。自分の看護の効果がわからなければ人にも伝えられず、世の中にも看護の価値が理解されなくなってしまいます。


















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