ダメ上司ほど「部下への仕事の任せ方」が下手な訳 「これくらいわかるだろう」は今は通用しない

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しかし、今はそんなことでは業務は進みません。「あうんの呼吸」がいけないということではありませんが、以前と比べて仕事は複雑になり、求められるものがとてもニッチで詳細なものとなっているからです。

説明をひと言で済ませてしまったために部下にやり直しを命じないといけなくなった場合、ていねいに説明をし直し、どんなものが求められているのか理解させるという二度手間になります。この「やり直し」にかかるコストを考えれば、最初にていねいに説明しておき、しっかり理解させたほうがはるかに効率的なのです。

「このぐらいはわかっているだろう」は今の時代には通用しません。
仕事の目的、内容、注意するポイント、納期などを明確にしないと、「あなたの思い」は伝わらないのです。「これぐらいはわかっているだろう」は上司であるあなたの思い違いだと肝に銘じなければなりません。

部下に気遣う上司はどうか

「部下に嫌われたくないから強く言えない」「部下にキレられると業務が進まない」「若者の取り扱いは慎重にしないと」などの言葉をよく聞きます。上司といえども部下に対して、気を遣うことは重要です。

しかし、部下の態度を気にしすぎるあまり、部下に対して何も言えなくなってはいけません。業務スキルが未熟な部下であれば、やり方、心構え、不具合への対処法などを自分の経験を交えて伝えていかなければなりません。その場面では部下に対して厳しい言葉を伝えたり、感情的になったりといろいろなことがあるでしょう。そこを避けていては、部下指導はできません。

「いい人に見られたい」「好かれる上司になりたい」これは誰でも思うことです。

しかし、上司が会社から求められているのは、部下を使って業務をこなし、収益を上げることです。好かれる上司になったからといっても、上司としての評価には関係ありません。やはり、結果を出してこそ上司の存在価値があるのです。そう考えると、部下のご機嫌を優先させるような仕事のやり方はご法度です。

叱るべきときは叱り、褒めるべきときは褒める。これが上司の仕事です。

私たち人間は、頭ではわかっていてもなかなかできません。いきなり「叱るべきときに叱れ」といっても体が反応しないのです。そのためには、普段から良好なコミュニケーションをとっておき、褒めるとき、叱るとき、フォーマルなとき、インフォーマルなときなど、メリハリのついた関係ができていなければなりません。上司と部下はお友達ではないのです。

そう考えた際に気をつけないといけないことは、部下の顔色をうかがうのと部下を思うことを履き違えないということです。上司であるあなたの思い(本心)から部下の「興味があること」「関心のあること」などをどんどん聞いてください。

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