英語留学大国目指すフィリピンの日系学校の努力 オフ・オンライン授業で工夫を凝らし日本人を呼ぶ

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急速に受講生を伸ばした背景には、社内公用語化を採用する企業が増えるなど日本で英語学習熱が高まったことがある。そのなかでフィリピン留学は、競合するアメリカやオーストラリア、カナダ、イギリスといった先進国に対し価格競争力が強かった。1カ月の留学で授業料と生活費込みで20万~30万円、さらに日本と4時間で結ぶ直行便の増加とそれに伴う航空券の価格低下があった。

授業の質についても、受講生数人に1人しか教師がつかないアメリカ、イギリス、オーストラリアに対しマンツーマンの授業が主流という優位があった。英語を公用語とするフィリピンで、先進国より圧倒的な低賃金で多くの教師を雇うことができる環境を生かした。

QQEnglishの藤岡頼光CEOは「セブ島留学の5日間は、時間で言えば駅前留学の160日分に相当する。ネイティブではないフィリピン人教師は、習得した英語だからこそ英語学習者の苦労や向上のツボがわかる」と安さだけではない点を強調する。

セブはマニラなどに比べて治安も安定しているとされ、休日には日帰りでビーチリゾートへ簡単に繰り出せるといった点も若者らにアピールした。

コロナ禍による突然のロックダウン

順風満帆だったセブ留学が暗転したのは2020年3月。コロナの感染者がまだ1日数人しか確認されていなかった3月13日、政府は感染拡大阻止を理由に週明けの16日からすべての学校に2~4週間の休校を指示した。日本の春休みで各校は書き入れ時。その時点で受講生や旅行客ら4000人ほどの邦人がセブに滞在していたとみられる。

その後、外国人の入国制限、国際線の相次ぐ欠航などが続き、多数の受講生を帰国させる必要に迫られた各学校は大混乱に陥った。航空券代が高騰する中でも早めに定期便に学生を乗せたところはまだよかった。短期間での制限解除を期待したところは、悲惨だった。

2020年3月下旬からは街全体がロックダウンとなって外出もままならなくなった。4月にかけてセブ日本人会(松田和人会長)が中心となって計9機のチャーター機を手配し、希望者を何とか帰国させた。ベトナムやタイからの受講生は7月ぐらいまで缶詰め状態に置かれた。

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