たとえば、週に15時間勤務の人がいたとします。その場合に、15時間しか働いていないから、もっと長時間働いている人に比べてお給料が違いますよとか、あなたに対してはあまり期待していないですよというのは、私たちの思いとは大きくズレているわけです。同じ仕事をしているのであれば、同じお給料を払うべきだし、その時間が週に40時間であろうと20時間であろうと、時間数によってその人の能力が変わるわけじゃない。そう思っていますから。
会社が従業員にかける期待値は、全員に等しい
今回の正社員化制度の大きな骨子は、「同一労働同一賃金」です。パートタイマーという言葉はもう私たちにはありません。そして、有期雇用だったものを無期雇用に変えました。会社が従業員に対してかける期待値は全員に等しいのです。
たとえば、子どもを産んで職場に帰ってきた女性が、「子どもの面倒を見ることを優先したいから週に40時間は働けない」と言ったとしましょう。でも、だからといって、子どもを産んだその人の、“仕事をする能力”が落ちているわけではないですよね。男の人の例だとしたら、ひとりっ子で、自分の両親がいきなり2人とも倒れて介護をしなくてはならなくなったとしましょう。どうしても自分の時間を介護に充てたいので、これまで週40時間だったのを20時間で働くと。
イケア・ジャパンのこれまでの体制だと、こうした要望にすべて対応することは厳しかったかもしれませんが、今回の制度変更によって、各個人が自分のライフステージに合わせて、働く時間を調整することが可能になったのです。
社員一人ひとりが平等で、自分のワーク・ライフ・バランスをしっかり持ちながら生きる。それが最終的にはイケアの理念である「より快適な毎日をより多くの方に」ということにつながると思っています。
ライフステージは、人によって違いますよね。25歳で結婚して子どもを産む人もいれば、45歳になって伴侶を見つける人もいる。一生、ひとりでいたいと思う人もいる。多様な人たちが、男女、国籍、年齢にかかわらず、自分のライフステージに沿った働き方ができるようにしたいと思いました。いつでも、どこでも「成長できるよ」という思いを、制度に落とし込んでいるのです。
これまでパートタイマーだった人にも、ボーナスや年金がつきます。ただ、お正月とかゴールデンウィークのようなピークのときだけ、シーズンスタッフを採用させていただいています。なので、100%完全に正規雇用ではないのですが、ただ、理念としてはこれまでにお話したとおりです。
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