従業員を最高に伸ばす!「イケア流」の秘密

労働条件で、期待値を変えない

そんなに異動をすると、仕事の引き継ぎが大変では? その分がコストでは?と思われるかもしれませんが、そもそもそれがコストだという考え方をしないのがイケアです。何と言ったらいいか難しいところですが、トレーニングのようなものだと思います。成長するうえで、当たり前に行われなければいけないものだと考えているのです。

この制度が組織全体にもたらすメリットもあります。多くの従業員がいろいろな部署を経験していると、誰かが急に欠けたときに対応しやすいということがあります。本社勤務でも、ストアの人員が足りなければ急にキャッシャーやレストランの対応をするとか、そういうこともあります。チームワークがよくなるのです。

ジャングルジムは、上っても下ってもいい

また、イケアのキャリアの描き方は「ジャングルジム」なのですね。横方向が部署で、縦方向がキャリア。同じ部署を一直線に上がっていくわけではなくて、いろいろな部署を平行に移動したり、少し上がったり、ライフプランによっては少しペースを落として下がったり。

……といっても、上がる下がるという言葉自体がおかしくて、マネジャーになることイコール「上がる」ということではないと思います。責任の範疇が重くなるから、それだけ支払われるということであって、それを選択するかしないかは、自分のキャリアをどこへ持っていきたいかによります。

それぞれの人間が異なるライフステージを行くときに、それを受容する受け皿が会社にはあります。それがジャングルジムです、そういうメッセージなのです。

「大学生の頃からイケアでアルバイトしていて、その後、チームリーダーになって、マネジャーになって、ストアマネジャーを目指します」という人がいてもいいし、「転職してストアの部長になりました。子どもを産んだけれど同じペースで仕事をします。子どもが大きくなったので、ストアマネジャーをやります。でもその後は、もう一度大学に戻りたいので少しペースを落とします」という人もいていいよと。

日本だと、大学を出たら就職するという人が大多数ですよね。でもスウェーデンなどでは、高校を出て大学に行かず、何年か仕事をしてから大学に行くという人がいたり。その人の選択次第なのですね。そういう考え方を、イケアではすごく尊重しています。だから、「私はこうしたいと思っているけれど、会社側としてはどのような選択肢がありますか?」と従業員がはっきり聞いたり、言ったりできるのです。そのことは、日本においてはユニークだと思われることも多いと感じますね。

今日も、育休中の女性社員から「復帰まであと半年ですけど、将来的な話をしたい」と言われて話をしてきました。お互いの意思確認やポジションの相談といったことです。復帰までの間、何度か話し合い、復帰に臨みます。

これまではマネジャーで短時間勤務を選んでいる人がいなかったのですが、昨年9月に短時間正社員制度を打ち出したので、これからはそれも変えていきたいですね。短時間勤務の正社員2人がストアマネジャーを務める、というような例をつくっていきたいと思っています。

(構成:小川たまか、撮影:梅谷秀司)

※次回は4月1日(水)に公開します

 

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