カーシェア事業がオンラインだけでは不十分な訳 神奈川県に拠点となる新施設「モビラボ」開設

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イベントに展示されていたアメリカのスクールバスのキャンピングカー仕様(筆者撮影)

同社では、こうした若い世代が増えることで、バンライフの裾野が広がり、同社のビジネス自体の拡大も可能だと見据える。ただし、課題もある。宮本さんによれば、「バンライフに興味を持つ同世代は多いものの、実際に試してみる人は少ない」という。恐らく、とくに学生などは、キャンピングカーどころか、クルマを持つことすら金銭的に難しい人も多いためだろう。昔からいわれている「若者のクルマ離れ」の背景と同じだ。興味があり、本当は所有したいという層はいても、車両代だけでなく、税金や車検費用、駐車場代など、クルマの維持にはなにかとお金がかかる。

キャンピングカー仕様のカスタマイズされたスクールバスの内装(筆者撮影)

とくに東京などの都市部に住んでいる場合、月極の駐車場を借りるだけでも、毎月2万円以上かかる場所も多い。学生や仕事があっても給与があまり高くない若い層にとって、クルマは高嶺の花だ。そうした傾向は、結局、キャンピングカーでも同様であることは想像にむずかしくない。

一方、社会人の場合は、コロナ禍により、リモートワークを実施する企業が増えるなどで、もし本人が望みさえすれば、クルマを生活の拠点とするバンライフ自体はやりやすい環境になったとはいえる。問題は、そうした生き方や嗜好を、いかに日本の社会に根づかせるか。同社事業の成功を握る鍵は、多様化する生活スタイルのひとつとして、バンライフを選択する人がどれほど増えるかにかかっているだろう。

今後のカーステイの展望

従来、キャンピングカーは高額なこともあり、一部の富裕層がメインのユーザーだった。それが現在のブームもあり、若い世代など、より幅広い層が注目している。同社では、キャンピングカーをより安価に作れる自作スペースの提供や、キャンピングカーに興味を持つ初心者などをフォローするための拠点として、今回モビラボというリアルな施設を作った。これらは、確かに同社がいうとおり、オンラインだけでは、なかなかできないものばかりだ。同社では、今後、モビラボの施設数を2号店、3号店と増やしていく目標も掲げ、より事業の拡大を図る予定だ。こうした取り組みが、キャンピングカー人気やバンライフという新しい生き方を、一過性のものでなく、いかに持続性のあるものにできるかが注目される。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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