カーシェア事業がオンラインだけでは不十分な訳 神奈川県に拠点となる新施設「モビラボ」開設

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くつろぎスペース
施設内には、くつろげるスペースも用意されている(写真:Carstay)

また、既存顧客へのサービスという背景もある。同社では、従来から同社サービスに登録する会員から、情報交換などを行う交流会を行ってほしいなどの要望が多かったという。ちなみに同社の会員は、キャンピングカーを借りるユーザー、車両を貸すオーナーともに、東京都や神奈川県に在住する人が約6割。横浜市内に当施設を設置した背景には、会員などが地理的に集まりやすいことも大きな要因だ。

さらに例えば、キャンピングカーを所有しているが、同社サービスを利用していないオーナーのなかに、興味こそあれ、オンライン上のやり取りだけでは利用する決心ができない人もいるという。主な理由は、「オンラインだけではわからないこともある」「そもそもオンラインが苦手」「実際にスタッフと話してみないと不安がある」などが挙げられる。キャンピングカーは高額なだけに、見知らぬ人に貸し出しても大丈夫かどうか不安なのは当然だ。

内観
モビラボ内の全体像(写真:Carstay)

また、年齢が比較的高いオーナーの場合は、やはり対面で詳細を聞かないと納得できない人もいるだろう。そのため、同社では、全国で開催されているキャンピングカーやアウトドアのイベントなどに参加し、同社サービスに興味を持つオーナーと実際に会って会話し、納得してもらえば、その場でスマートフォンを使って同社カーシェアサービスへの登録作業を行っていたそうだ。

当施設を、そうした新規顧客の開拓を行う場所としても活用することで、事業の拡大を目指すという。つまり、同社では、従来のオンラインだけでの事業展開では、顧客の満足や増加に「限界がある」と感じ、こうした「リアルの施設」をオープンさせたということだ。

キャンピングカーの車両台数を増やす必要性

なお、同社では、当施設のガレージシェアなどのサービス提供により、キャンピングカーの車両台数を増やすことで、同社がコンセプトに掲げるバンライフというライフスタイルの愛好者を増やすことを目標とする。また、事業面でも同社カーシェアサービスの車両登録台数を2022年内に現在の約300台から500台とし、会員登録者も2025年までに現在の約3万人から100万人とすることを目指している。

なかでもカーシェアの車両登録台数を増やすことは、同社にとって急務だろう。それは、海外からの訪日旅行客がコロナ禍の規制解禁により急増しているためだ。とくにキャンピングカーで旅をする文化が根付いている欧米などからの訪日旅行客には、コロナ禍前には、比較的長期間キャンピングカーをレンタルするユーザーが多かったという。

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