一方、注意したほうがいい眠りは、横になった状態でする昼寝です。気を取り込む臓器である「肺」は、秋と深い関係があります。昼間に横になって長く眠ると、この肺の気が虚す(衰える)といわれます。肺が弱いと気を巡らせる力が弱くなり、息苦しい、疲れやすい、風邪をひきやすい、冷えやすい、うつっぽいなどの症状が出やすくなります。どうしても眠いときは横にならずに座ったまま、10~20分程度の昼寝をしましょう。
次に、黄帝内経が秋の象徴として表現する「容平(ようへい)」について解説します。
「容」は収容や包容の意味で、空の枠に物を入れることを表し、「平」は平穏や平定を意味します。秋になると、夏の燃え上がる炎のように盛んであった陽気が、外に出ていく状態から内に収められる状態に変わることを示しています。必要なものが残され、不要なものはそぎ落とされます。秋になると葉が枯れ落ちた枝に真っ赤な柿がなっているのを見かけますが、「容平」とは、このような実りを収穫するイメージです。
そのため、この時期は種をまくような、何か新しいことを始めるのは相応しくなく、ゆっくりと物事を仕上げたり、整理したりするのにふさわしい季節なのです。実際に始めようとすると肺を傷めることにもなり、気の巡りが悪くなって、体調を崩して寒暖差疲労につながります。
養生は前の季節の影響を受けるので、今冷えが強い人は夏の養生が十分ではなかったといえます。それを挽回して冬に備えるには、まずはこれ以上冷えを悪化させないことです。
冷えを予防するには3つの首(手首、足首、首)をガードすることが重要です。夏の延長で足首以下の短い靴下を履いている人もいますが、ハイソックス、レッグウォーマーなどを活用してほしいですね。首にはスカーフやストールを巻くとよいでしょう。女性はできれば秋から冬は肩につくくらいに髪を伸ばすのがおすすめです。髪で首回りが温まります。髪は縛ったり上げたりせず、おろしたままにしておきましょう。
また、急な気温の変化に備えて重ね着をするのをおすすめします。厚着しすぎて汗をかくのも結果的に冷えにつながります。
冷えが強いときに摂りたい食材
冷えが強い場合は、温める性質を持つネギやショウガ、シナモン、コショウを適度に摂るのもおすすめです。ただし、摂りすぎると体が乾燥してしまうので要注意です。特にニンニクやトウガラシ、山椒など熱性の強いものは適度に取り入れ、汗をかくほどは食べないようにしましょう。
入浴は40度以下で10分程度温まると、リラックスして自律神経が整います。熱い湯や長風呂は肌の乾燥や脱水を招きますので、これからの時期はとくに避けてほしいところです。
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