漢方が伝授「寒暖差疲労」を根本解決するツボ2つ 豆乳や白ごまなど「白い食材」が元気をもたらす

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では、これらの症状に対応する方法をご紹介する前に、中国の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』に書かれている理想的な秋の過ごし方をみてみましょう。

〈秋の三カ月は容平という。天気は涼しく風の音は強く急であり、地気は静粛として、万物は色を変える。この季節には、鶏の寝起きのように、早く寝て早く起きることであり、心を安らかにして、精神を落ち着かせて、秋の気が身体を損なうことのないようにし、やたらと動きまわって、肺を冷やさないようにする。これが秋の季節に調和した養生法である。もし、これに背いて、精神を動揺させたり、秋の冷えにあたり肺を冷やしたりすると肺気を損傷し、冬になって下痢をしたりする。〉

これは黄帝内経の「四気調神大論(しきちょうしんたいろん)」篇で、四季の養生について書かれています。黄帝内経は漢の時代に書かれた漢方医書で、体の仕組みや治療法だけでなく、病気にならず健康でいるための方法(養生)について多く書かれています。

漢方の古典に習う養生法を紹介

病気になる前に察知して防ぐ「未病治(みびょうをちす)」という言葉が出てくるのもこの黄帝内経です。現代にも生かすべき智恵の宝庫と言えます。次からは、この黄帝内経を参考にした養生法となります。

①早寝早起きをする

漢方でいう生命力「気」が充実していれば、寒暖差に耐えることができ、疲れにくい体にしてくれます。先に記したチェックシートはほぼすべて、気の不足である「気虚(ききょ)」が原因です。

気の不足を補うには、陽気を取り入れることが大事です。自然界の陽気はまさに太陽光が与えてくれるエネルギーであり、体内で働くさまざまな気の材料になります。

秋から冬にかけては日が短くなっていくので、自然界の陽気を取り入れる時間が少なくなります。そのため、就寝時間を早めにシフトして、にわとりの起きるぐらいのタイミング――遅くとも6時半くらいまでには起きて、陽気を取り込みたいところです。今の時期は夏の疲れを引きずっていることが多いので、夜は10時、遅くとも11時までには就寝しましょう。

同じ8時間睡眠でも、夜10時からの8時間と夜12時からの8時間とでは、睡眠の質が違ってくると漢方では考えます。とくに陰が極まる夜11時から翌朝3時までは熟睡していないと、血液や体液をしっかり充実させて日中に備えることができません。

疲れているのに夜更かしをしている方もいますが、そのような人は寝不足が日常的になっているため、寝不足に気付いていないことが多いです。睡眠不足は眠りでしか補えませんので、まずは少しでも早く就寝することを心がけてください。秋の夜長といいますが、夏の疲れをとって冬に備えるには、意識して体を休めたほうがいいのです。

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