話を聞くのがどうもヘタな人に伝えたいコツ4選 相手に委ね、眉毛で喋り、正直に、沈黙は金なり

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その1割は本当の気持ちですし、そう言わないと、彼女は続きを話してくれないでしょうから。とはいえ、1割もそう思っていなかったならば、何も言わずに「うーん」と沈黙しているのがいいですね。

正直でいましょう、馬鹿正直でなくてもいいから。

【4 沈黙に強くなろう】

ここで小手先の王様である沈黙について、話しておきましょう。沈黙を増やすだけで、話を聞けるようになります。

学生にカウンセリングのやり方を教える授業があります。カウンセラー役とクライアント役に分かれてもらって、カウンセリングのロールプレイをやってもらうのですが、このとき学生がもっとも苦手なのが沈黙です。

カウンセラー役なのにひたすらしゃべっちゃうんですよ。

とりあえず黙ってみて間をつくる

というのも、気まずい沈黙になるのを恐れているからです。相手の話が途切れるタイミングで、何かしゃべらないといけないという強迫観念があるかのようです。

誰かが話したら、ツッコミを入れて、場を盛り上げないといけない。現代にはそういうノリの良さを強制するところがあるのかもしれません。そうすると、場の空気は保たれるかもしれないけど、残念ながら話は聞けなくなります。

カラオケに似てますね。人が歌っているときに、この曲終わったらどう感想を言おうかとか、次の曲は何を入れようかと考えていると、全然歌とか聞いていられないじゃないですか。

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『聞く技術 聞いてもらう技術』(筑摩書房)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

聞くために必要なのは沈黙です。

こちらから話題をふって、それに反応してもらうのではなく、相手の中から話題を持ち出してもらう必要がある。大事な話をする前は気まずいものなのですから、多少気まずい沈黙に耐えられる必要があります。

とりあえず黙ってみて、間を作りましょう。野球みたいなものです。テニスだと、ボールがぽんぽん行き交っているわけですが、野球は1球1球ピッチャーも考えてから投げますよね。ペースがゆっくりしています。

情報交換のための話は、ペースが速いほうが効率はいいかもしれないけれど、心の苦しいところを聞こうとするのであればペースは遅いほうがいい。沈黙がたくさんある会話には、心が滲み出してくるものです。

東畑 開人 臨床心理学者

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とうはた かいと / Kaito Tohata

1983年東京生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)・臨床心理士。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。白金高輪カウンセリングルーム主宰。著書に『野の医者は笑う―心の治療とは何か?』(誠信書房)『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院)『心はどこへ消えた?』(文藝春秋 2021)『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社)など。『居るのはつらいよ』で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞。

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