まず、世界の暴落史に残る世界的大暴落を確認してみましょう。
最も有名なのは、1929年の世界恐慌でしょう。ダウ平均株価はピーク時の386ドルから34カ月をかけて41ドルまで下落します。その下落率は89%で常軌を逸しています。
このウォール街大暴落に比肩するのが日本の資産バブル崩壊です。1989年ピーク時の日経平均株価はザラ場ベースで3万8957円。最安値を付けたのが226カ月後の2008年で、その下落率は82%となっています。
世界恐慌では株価が底を打ったのは34カ月後でしたが、株価がもとの水準に戻ったのは1954年で25年の歳月を要しています。日本のバブル崩壊では、株価が底を打つのに226カ月を要し、30年以上経過した現在でも、元の水準に戻っていません。尋常ならざる事象であったことは容易にうかがい知ることができます。
日米の株価パフォーマンスを比較した折れ線グラフで、日本のバブル崩壊直前の株価を起点としたものをよく見かけますが、世界の暴落史に刻まれるような暴落が起こる寸前を起点としていれば、パフォーマンスが劣後するのは当然です。
なぜ、直近5年、10年のパフォーマンス比較ではなく、バブル崩壊直前を起点としているのか、印象操作をおこなおうとしていないか考えながら記事を読んでみると、あらたな気づきがあると思います。
21世紀型の暴落に対処するために、参考にする暴落は
さて、上記の世界恐慌や日本のバブル崩壊については、人間の欲望によりバブルが醸成され、臨界点を超えたところで崩壊するという本質的な部分からの学びはあるものの、情報通信網が整備され誰でもリアルタイムでマーケットにアクセスできるようになった21世紀型の暴落に対処するためには、2000年以降の暴落を参考にするのが適当と考えます。
具体的には2000年のITバブル崩壊、2007年のサブプライム危機に端を発した2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2015年のチャイナショック、2016年のブレグジット、そして記憶に新しい2020年のコロナショックです。
100年に1度の金融危機と呼ばれたリーマンショックの下落率は62%、ITバブル崩壊の下落率が64%であることを考えると、直近高値からの最大ドローダウンはおおむね6割強となっています。また、底値を付けるまでの下落期間はITバブル崩壊で36カ月です。その後の暴落では、36カ月を超える下落期間は発生しておらず、3年程度を最悪の目安としてよいでしょう。
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