ここで現在の相場環境に照らし合わせて考えていきましょう。
日経平均株価の直近高値は、2021年9月14日のザラ場で付けた3万0795円です。最悪を想定して下落率を6割とするならば、3万0795円×60%=1万8477円の下落。
つまり、3万0795円-1万8477円=1万2318円が、100年に1度と言われたリーマンショック級の最悪を想定したケースでの日経平均株価となります。
また、コロナショック級であれば直近高値からの下落率は30%となりますので、日経平均株価は2万1557円程度が想定されます。
これで読者の皆さんは、底値を探るためのモノサシの1つを手に入れました。下落率に関しては直近高値の株価がどの程度のバリュエーションであったのか、つまり、事前にどの程度のバブルが醸成されていたのかという点も考慮する必要があるため、ほかの視点を組み合わせることで想定の精度を上げていきます。(※外部配信先では図や表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
PBR0.8倍が真の底値
株価の下落局面で威力を発揮する投資指標が存在します。それがPBR(株価純資産倍率)です。
PBRは株価が1株当たり純資産の何倍になっているかを表す指標で、一般的に1倍で会社の解散価値(仮に事業をやめて資産を株主へ分配したときの資産価値)と同じとされており、PBRが1倍を下回れば割安、1倍を上回れば割高と考えられています。
歴史をひもとけば、日経平均のPBRは0.81倍(加重平均)を下回ったことがありません。リーマンショックで0.81倍、コロナショックで0.82倍、東日本大震災で0.9倍です。われわれがよく目にする2、3年に1度は訪れる暴落ではPBR1倍程度で下げ止まり、その後は上昇に転じています。
2022年11月11日現在のPBRは1.17倍です。11月11日現在のBPS(1株当たり純資産)が2万4156円ですので、最悪時の下限を探るとすれば、PBR0.8倍となる、2万4156円×0.8=1万9324円程度がおおむねの下限になると推測できます。
また、多くの暴落がPBR1倍で下げ止まっていることを勘案すると、PBR1倍程度となったら大きく買っていくという戦術をとることもできます。ただし、PBRが1倍程度となるのは数年に1度ですので、そのときのみをピンポイントで狙って待つというのは現実的には難しいと思います。普段からポジションを取り、相場観を養いながら、暴落時にはチャンスを生かすために果敢に買っていくというほうが現実的でしょう。
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