日経平均は最悪「1万9324円」まで下がると考えよ 過去の暴落を知ることで長期投資は可能になる

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これで読者の皆さんは暴落時に底値を探るための2つ目のモノサシを手に入れました。投資判断は複合的に行うものですが、今回紹介させていただいた2つのモノサシを活用すれば、おおむねの底値がどの程度となるかを一定の精度をもって判断できるはずです。ぜひ、活用してみてください。

日経平均PBRの推移
図2:日経平均PBRの推移(出典:投資の森

コロナショック・リーマンショック時の個別株の下落率を知っておこう

日経平均株価が最悪でどの程度まで下がるのかという点について、おおむねご理解いただけたのではないかと思います。

ただし、日経平均株価は相場全体の下落となりますので、個別銘柄では下落率に濃淡がでてきます。最後に、PBRが0.8倍近くまで下落したコロナショックとリーマンショック時に、個別銘柄の株価がどの程度まで下げたのかを具体的に確認しておきましょう。

図3:コロナショック前の直近高値とその後の最安値(筆者作成)

図3はコロナショック時における個別銘柄の株価とその下落率です。コロナショック時には日経平均株価は32.2%下落していますが、銘柄によっては大幅に上回っているものもあれば、相対的に下落率が抑えられている銘柄も存在しています。

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ソフトバンクグループが55.6%、コマツが45.4%、オリックスが43.8%、メガバンク3社が40%弱となっている一方、NTTは26%、トヨタは28.1%と平均よりは下落率が抑えられている銘柄も存在します。

一般的にコマツやメガバンクなどの景気敏感株ほど下落率が高いと言われていますので、過去の株価の推移等を参考にしつつ、株価の下落を想定するときは保守的に見積もっておいたほうが無難でしょう。多くの場合、自分が想定しているよりもさらに株価を下げるものです。

もう1点、今後、大暴落が起こったときには、コロナショック時に付けた最安値が投資家に意識されて、防波堤となってくれる可能性が高いと考えられます。滅多に起こるものではありませんが、規格外の暴落が発生したときには、参考にしてみてください。

図4でリーマンショックにおける下落率を紹介しておきます。リーマンショック前には日経平均株価のPBRが2.5倍を超えるなど、かなり割高な水準となっていたため、単純比較はできませんが、100年に1度と呼ばれるにふさわしい大暴落でした。現在の皆さんの保有株に下落率をあてはめてみると、その恐怖もリアルに想像できるのではないでしょうか。

図4:リーマンショック前の直近高値とその後の最安値(筆者作成)
まとめ
・最悪シナリオでは下落率60%、下落期間3年を想定しよう
・どんな大暴落でもPBR0.8倍程度が歴史上の下限と知っておこう
・個別銘柄は想定よりも大きく下げるケースがあると知っておこう
長期株式投資 「日本の配当株」メインの個人投資家

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ちょうきかぶしきとうし / Choukikabushikitoushi

「日本の配当株」専門の個人投資家。1977年、熊本県生まれ。2004年株式投資を開始。ハイリターン・一攫千金を求め新興市場にて個別銘柄の投資をするも、ライブドアショックで痛すぎる損失を経験。以降、大型株へ投資対象をシフトするが、リーマンショックで含み損が600万円にまで膨らむ。2009年、ポートフォリオを大型配当株メインにスイッチ。以降は安定的に資産を増やし、2022年の税引き後の手取り配当額は282万5128円と過去最高を更新し、運用資産1億円を突破。近年は、19年間の投資生活で磨いた技術やノウハウをTwitterやブログにて発信。2023年3月、長年勤めた会社を早期退職し、オンラインサロンを開設。

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