なお、韓国側にも声を大にして言いたいのは、「韓国人なのに韓国語をできないのはなぜか」あるいは「パンチョッパリ (「半分日本人」という侮蔑を込めて一部で使われる蔑称)」などと心ない批判をせず、異国の地で3代、4代、5代目になっても祖国のルーツを大切にする人々を、温かく包み込んでほしい。
祖国に愛情と包容を求めてやってきて、「日本にいるよりも韓国で疎外感」をおぼえて絶望し、「韓国嫌い」になる在日コリアンの話は、昔から絶えることがないのだから。
視点を「政治家」から「Z世代の若者」に変えよう
今後も両国の政治家は、「選挙票」のために、引き続き対立するに違いない。
たとえば、『そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。』を執筆中から発売後にかけても、軍艦島や佐渡金山の世界遺産登録に関して、日韓両政府がもめていた。
日本政府としては世界遺産を増やしたい。しかし韓国側からすれば自国民が強制労働をさせられた場所を、その説明を省いて「素晴らしい人類共通の記憶」として登録されることには、反発心が生じるだろう。
そんなとき、「日本の名誉のために」などと自民党右派が言えば、そのほかのあらゆる失策やスキャンダルがあろうとも、それだけで投票してくれる支持者が一定数、存在する。
これに対し、「隣国に配慮すべきだ」と言っても、それだけで投票してくれる有権者はほぼいない。
つまり、隣国の反発が起きるとわかっている行動をとって、自国のナショナリズムを刺激して得票につなげる政治家がいる限り、国家間の外交はどうしても、「国粋主義的傾向が強い人同士の対立」に支配されがちだという構造的な問題があるのだ。
このような政治対立が起きるたびに、メディアは「戦後最悪の日韓関係」だとあおるだろう。しかし「最悪の日韓関係」という認識は、視点を「政治家」から「Z世代の若者」に変えれば、まったく現実を描写していない。
「嫌韓vs.反日」のレッドオーシャンを「ムラサキ」する、Z世代の「パープルオーシャン」が広がる限り、未来の日韓関係には「希望材料」も十分あるのである。
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