日韓関係の歴史を見ると、たとえば弥生時代には、朝鮮半島からの人口流入で交流が活発だった。しかし、そもそも人口が少ないので、いまの基準で考えれば、絶対数は知れている。
また、江戸時代に「朝鮮通信使」で交流が活発だったといっても、将軍の代替わりのときに朝鮮王朝通信使一行が来日するくらいで、数十年に1回の話だ。
これに対し、数百万、数千万人単位で、SNSでダイレクトに、無数の若者同士の交流が行われている現在は、「政治対立や歴史背景に関係なく、『現代SNS文化交流』が、次世代を担う若者によって、活発に行われている」という意味で、「史上最も両国関係が活発化している」と捉えることもできよう。
「朝鮮通信使」を軽々と超えた「令和女子」
かつて韓流ブームを牽引した女性陣にとっては、韓国といえば「韓国ドラマ」と「旅行」と「エステ」であった。そして、いまの女子高生にとっては「K-POPスター」と「コスメ」と「TikTokでのダンス」だ。
YouTubeやインスタグラム、TikTokで相手国のポップカルチャーをダイレクトに無料で見られるようになると、テレビや新聞、雑誌という伝統的メディアによる編集を飛び越え、お互いの国の生の動画にいくらでも触れられるようになる。
彼女たちの大半は歴史への興味は薄いので、「両国間の葛藤」をほぼ知らない。よって逆にいえば、「歴史を学ぶこと」で自覚するようになる「集団的記憶」からも自由な人々である。
そして彼女たちは今後も、「政治家の対立」に、自分たちの考えを左右される可能性は低い。
彼女たちは「歴史問題」や「集団的記憶」ではなく、「美」や「おいしさ」「楽しさ」という「個人的記憶」で相手国を認識する。
つまり、「チーズホットク」(韓国式おやきのようなスイーツ)をほおばりながら、BTSやTWICE、IVEに熱狂するのだ。
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