歌舞伎町「巨大エンタメ施設」その全貌と深い思惑 訪日客と国内観光客を囲い込めるかがカギに

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たしかにシネシティ広場から靖国通りと西武新宿駅にかけた一帯は、すでにクリーンな街への整備が進み、かつて目立っていた風俗店の無料案内所もほとんどが健全なテナントに入れ替わっている。子どもから年配層まで誰もが安心して楽しめるエンターテインメントの街並みへと変わりつつある。

一方で、シネシティ広場から花園神社方面の区役所通りにかけては、いまもホストクラブやキャバクラ、風俗店などの看板が立ち並び、夜の街の色合いが濃い。セントラルロードを境に、まるで明と暗のような線引きがより明確になっている。

それによって色合いの異なる隣り合うエリアへの人の流れが途絶えるかといえば、そうはならないだろう。なぜならそれこそがそこに集う人々が求める歌舞伎町の文化だからだ。ただ、人の流れと訪れる層がより広がることにより、そこで生まれるニーズは変わる。そこから文化もビジネスも変容していく可能性はある。

歌舞伎町は映画激戦地

東急歌舞伎町タワーでもう1つ気になるのが、映画激戦地である新宿に新たなシネコンが誕生することだ。

過去を振り返ると、歌舞伎町の象徴だった新宿コマ劇場が2008年に閉館。新宿ミラノ座も、施設の老朽化などを理由に2014年に閉館し、取り壊された。

その後、ゴジラが街を見下ろすゴジラヘッドをシンボルにする新宿東宝ビルが、コマ劇場跡地に2015年に完成。それを受けて、新宿ミラノ座跡地の東急歌舞伎町タワー構想も本格的に動き出した。

新宿東宝ビル(写真:筆者撮影)

現在すでに周辺地域は、東宝のTOHOシネマズ、松竹のピカデリー、東映のバルト9という大手系列の大型シネコン密集地であるほか、独立系でもEJアニメシアター新宿(旧角川シネマ新宿)、テアトル、シネマート、武蔵野館、シネマカリテなどの映画館がひしめき、すでに計7000席ほどを有する巨大な映画の街になっている。

そんななかに新規参入するシネコンとなる、東急歌舞伎町タワーの109シネマズプレミアム新宿は、ラグジュアリー志向でほかのシネコンとの差別化を図る。

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