歌舞伎町「巨大エンタメ施設」その全貌と深い思惑 訪日客と国内観光客を囲い込めるかがカギに
同社の代表取締役社長・菅野信三氏は、地元商店街や町会の振興団体であり、新宿区長を会長とする歌舞伎町ルネッサンス推進協議会および、その実行組織である歌舞伎町タウン・マネージメントに発足時から個人的に参加し、運営委員を務めてきた。菅野氏も日頃から地域と密接に関わり、振興に尽力しながら地元の要望を受け止め、タワーとその周辺の整備に取り組んできている。
東急レクリエーションが歌舞伎町の住民たちからの要望を取り込んだ1例として、西武新宿駅前通りを整備したことが挙げられる。新宿駅からシネシティ広場のある歌舞伎町中心部へ向かう西武新宿駅前通りの歩道を広くし、街路灯をすべて作り直すことで、誰もが安心して通れる新たな動線を作った。
菅野社長は「1企業ができることは限られていますが、地域団体を巻き込めばいろいろな取り組みができます。10年以上、私利私欲なく地元と一緒に地域振興に励んできましたが、東急歌舞伎町タワーがそのきっかけの1つになればと願っています。タワーを中心に地元と連携した新たなビジネスを模索していきたいです」と語る。
歌舞伎町はクリーンな街になるのか
一方で気になることもある。歌舞伎町といえば芸能文化や風俗街など、さまざまな文化が入り混じった空気が街の魅力になってきた。もし安心安全で完全にクリーンな街になった場合、それはもはや歌舞伎町ではないという声も聞こえてきそうだ。もちろん合法かつ安全であることが大前提ではあるが、そこには自治体と商店街の間でも異なる思惑がありそうだ。
菅野社長は「雑多でありながらジェンダレスで多様性があって懐が深い街。それは物事の裏表であり、生きていくことに必要な側面。人間の根源的な欲望を満たしてくれる街だから、歌舞伎町は人々を惹きつけるんです。個人的にはそれがある街でいいと思う。もちろん違法行為の取り締まりや街のクリーン作戦、客引き防止などにはこれからも注力していきます。ただ、歴史ある歌舞伎町の本質的な部分はこれからも残していきたい」と長く地域に関わってきた思いを語る。
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