追加で行うガス料金の対策はどうか。「遅い」とツッコまれるかもしれないが、後から慌ててみせるのも努力しているように見えていい。もちろんガス料金対策も愚民には歓迎される。そうだ。選挙ではガソリン価格についてもアピールしなければならない。
小麦の価格なども上がっているから、ここでも「個別の対策」が欲しい。和風と洋風に分けて、「うどんとパスタにそれぞれ対策を施しましょう」という提案が役人から上がってくるかもしれない。「気の利く奴だから、秘書官にするか……。いい奴がいない場合は、義理の息子にでもしておくか」……などといった具合だ。
政治家も役人も国民も、皆愚民同士の場合、経済対策は、一気に問題が片付いて仕事がなくなるようなものではなくて、個別に右往左往できるようなもののほうが、組織にとっても個人にとっても好ましい。
あちらではアレに対策し、こちらではコレに対策し、それぞれの部署に仕事があり忙しさと成果が表現できる「個別の価格対策」は純粋愚民国家に最適な政策フレームワークだ。経済全体の効率性など構っていられない。
念押ししておくが、これは、あくまでも「架空の」愚民ばかりの国家の話だ。日本がこうだと言っているわけではない。ただし、こうでないとも言っていない。
SDGsは屁でもないのだろうか?
エネルギー価格高騰の少し前を思い出してみよう。世はSDGs(持続可能な開発目標)がブームであった。
地球温暖化を阻止するためには、炭素ガスの排出を制限する必要があり、その削減目標を立てて実行することが、地球に対して責任のある態度だと推奨された。化石燃料の採掘に対する追加投資は抑制されたし、電気自動車が素晴らしいとされて(本当だろうか?)、炭素税、カーボンプライシング、排出権取引(所)、などが議論され、一部は現実に導入もされた。
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