「ハンバーガーといえばマック」に学ぶ最強の戦略 PRにインフルエンサーを活用、新たな工夫も

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一方の「メンタル・アベイラビリティ」は、「想起されやすさ」といった意味合いです。ある特定の物が欲しいと思った顧客の脳内に、自社商品がパッと思い浮かぶ状況を指します。ハンバーガーが食べたいと思ったとき、頭にパッと「マクドナルド」が思い浮かぶ、そんなレベルで認知されている状態のことです。

この状態になるには、ただインパクトのある広告を出し続けていても難しいでしょう。特定の状況や欲求がトリガーとなり、自社の商品名やブランドが想起されるように、人々の記憶に自社の存在や意義が印象付けられるマーケティング戦略が必要となります。

新興企業が目指すゴール

メンタル・アベイラビリティを生み出すには、WEBやSNSの広告だけでは難しいでしょう。画像、音声、動画、イベントなども絡めた大々的なPRによって、自社の歴史や開発秘話といったストーリーが伝わることで、ようやく認知が始まっていきます。

そのため、「製品寿命サイクル序盤の企業は、まずは質より量」のように、まだ若い企業であれば、まずはフィジカル・アベイラビリティのある状態を目指して認知を拡大していくのがよいでしょう。

例えば、急成長したとある有名なアパレルECブランドは、販売管理費の95%をインフルエンサーによるPR投稿の予算にあてているといわれています。いわゆるインフルエンサー・マーケティングという手法です。そして残りの5%を、リターゲティング広告にあてているそうです。つまりこのアパレルECブランドの戦略は、広告よりもSNSを中心として顧客とのタッチポイントを増やす戦略をとっているわけです。

ただし、すべてのECブランドがこのようなマーケティング戦略をとれば成功するわけではありません。このアパレルECブランドは、主に10〜20代の顧客に向けて、質の良い商品を低価格で届けることを「プロミス」としていました。そのため広告よりも、インフルエンサーの投稿によってシンパシーを感じてもらうことが、同社のブランドにも合致した手法だったのです。

近年は「インフルエンサー・マーケティング」という手法が主流になっています。これは、多くのフォロワーを抱えるなど、SNSで大きな影響力をもつ人物に、自社の商品やサービスを紹介してもらうマーケティング手法です。主にYouTube、Instagram、TikTok、ブログといったプラットフォームで活躍する人気投稿者に依頼することがほとんどです。

ただ、社外の存在であるインフルエンサーに協力を仰ぐため、その投稿内容と自社のブランド・アイデンティティとの一貫性を保つことの難しさがあります。インフルエンサーもそれぞれセルフブランディングをしており、ファッション、話し方、投稿の文体には自身のスタイルがあります。

そのスタイルのまま発信することで、自社のブランド・アイデンティティとブレが出ることもあります。とはいえ反対に、インフルエンサー自身の魅力を封印して情報発信を行ってもらっても、フォロワーからの支持を得ることができず、逆効果になってしまう可能性は否定できません。

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