3年ぶりリアル開催「CEATEC」知られざる裏の役割 「デジタル人材」の育成・獲得にあの手この手

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人材不足に対して、とくに強い危機感を持っているのが、半導体産業である。2000年には19万人だった日本の半導体産業人口は、2020年には8万人にまで減少。その一方で、今後の市場成長に日本が追随していくためには、4万人以上の人材を獲得する必要があると、JEITAでは試算している。

世界の半導体産業の市場規模は、2000年の20兆円から、2020年には50兆円へと大きく拡大。さらに、2030年には100兆円の市場規模にまで拡大すると見られている。また半導体製造装置や素材などの関連産業も、2020年には全世界で15兆円の規模があり、今後の成長が期待できる。

だが、日本の半導体市場の規模は20年間にわたり、ほぼ4兆円で横ばいのままであり、1980年代後半には50%を超えていた世界シェアは、いまでは10%弱にまで落ち込んでいる。

業界内では「理工系人材の減少や、半導体産業に直結する電気電子情報学科の人気の低下が影響していた」との指摘もあるが、この状況が続き、半導体産業に次世代を担う人材が入ってこなければ、日本の半導体産業そのものが、世界の成長路線から外れることになりかねない。

タカラトミーの協力で「半導体産業人生ゲーム」を用意

CEATEC 2022では、JEITA半導体部会が初めて単独ブースで出展。半導体企業8社が展示するブースの内容は、すべて学生向けに位置づけ、半導体産業に興味を持ってもらうための活動を行う。

さらに、ブースの半分を使って、タカラトミーとの協力によって、「半導体産業人生ゲーム」を用意した。学生自らがコマになって、ルーレットを回しながらマスを進むことで、半導体産業に就職すると、どんな未来が待っているのかを疑似体験できる。

半導体産業人生ゲーム
タカラトミーと共同で制作した「半導体産業人生ゲーム」(出所:CEATEC)

また、JEITA半導体部会では、CEATEC 2022のオンラインコンファレンスでも複数の独自コンテンツを配信する。

その1つである「半導体人材シンポジウム」では、キオクシアの早坂伸夫社長が、「今後も半導体産業は大きく成長し、日本にもまだまだ多くのチャンスがある。これからの半導体産業を支えるのは、若い優秀な人材である。日本の半導体産業の成長のためには、多くの人材が必要であり、新たな価値を生み出すポテンシャルを持つ学生に大きな期待を寄せている」と呼びかけている。

半導体産業を中心に、日本ではデジタル人材の獲得、育成に大きな遅れがある。これが業界内での大きな「危機感」となっている。CEATEC 2022には、その解決の一翼を担うという裏の役割がある。

大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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