3年ぶりリアル開催「CEATEC」知られざる裏の役割 「デジタル人材」の育成・獲得にあの手この手

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当初は「家電見本市」としてスタートしたが、国内家電メーカーの不振などを背景に、2016年には脱家電見本市を掲げ、「CPS/IoT Exhibition」へと舵を切り、その翌年には、「Society 5.0 の総合展」へと進化したのは大きな出来事の1つだ。

それ以来、テクノロジーの開発企業だけでなく、テクノロジーを活用するさまざまな産業の企業が出展。自動車や金融、建設機械、交通、旅行、住宅、繊維など、さまざまな産業からの出展が相次いでいる。その動きは、CEATEC 2022では、別の形に進化しそうだ。

2019年までの幕張メッセ会場での展示は、Society 5.0の実現に向けて、共創を呼び掛ける内容が多かったものが、今年の展示では、共創の成果を見せる展示が増えることになるからだ。

先に触れたAWSジャパンの展示内容も、AWSのクラウドを活用することを訴求して、共創を呼びかける内容ではなく、共同出展する18社がAWSのクラウドを利用して、どんなサービスを提供しているのか、そのサービスによってどんな社会課題を解決するのかを見せる場になっている。まさに共創の成果が展示の中心となる。

3年ぶりの幕張メッセ会場での展示内容は、共創のきっかけをつくる展示から、共創の成果を見せる展示へと変化することになり、時代にあわせた裏の変化の1つといえるだろう。

CEATEC 2022の「2つの裏テーマ」

CEATEC 2022では、さらに2つの裏のテーマがある。それは、「使命感」と「危機感」と表現することができそうだ。

「使命感」という点では、多くの企業が直面しているサステイナビリティへの対応である。リアル会場での展示は、オンラインとは異なり、当然のことながらブースを作り、多くの製品を展示することになる。しかし、わずか4日間の展示が終了すると、これらのブースはすべて壊され、廃棄されることになる。

かつてブースの撤収作業を取材したことがあったが、閉幕からわずか5時間で、巨大なブースなどがすべて撤去され、その多くの材料がトラックで廃棄物として搬出されていった。サステイナビリティには、ほど遠い状況である。

CEATECの廃棄物
2018年のCEATEC終了後の写真。大量の廃棄物が発生していた(筆者撮影)

電機大手などの主要企業各社が、経営方針説明などでサステイナビリティを大々的に打ち出し、展示内容でもサステイナビリティをテーマにしているにもかかわらず、この状況では本末転倒である。そこで、CEATEC 2022では、事務局側から、出展各社に対して、環境にやさしいブースづくりを提案した。これはCEATECとしては初めての取り組みである。

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