「略歴たった1行」の私が翻訳者デビューできた訳 やり抜く力をくれた「Believe It」著者スピーチ

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私はダメモトで東洋経済新報社に企画を持ち込みました。

本書は、ビジネス書のカテゴリには入りますが、プライベートに関する内容にかなりのページ数が割かれています。ビジネス書や経済書を専門とする出版社では、重役の方々がお読みにならないタイプの本かなと感じ、企画が通らないのではないかと思ったのです。

そこで、通常、企画段階ではやらないことですが、試訳を添えることにしました。選んだのは、あの受賞スピーチの部分でした。

ジェイミーは、直感に従って自分が正しいと思うことをします。信念を曲げず、長いものには巻かれません。あのスピーチにはそのメンタルが表れており、これこそが本書の魅力を最大限に伝える部分だと思ったのです。

すると、編集者の方が、この試訳に興味を持ってくださいました。さらに「あなたの訳は読みやすい」と言っていただき、企画も通ったのです。

私が翻訳をやり通せた理由

とはいえ、翻訳作業は順風満帆とは言えませんでした。編集者の方からは、「好きな場面を試訳するのと、本1冊を通して訳すのとではまったく違いますよ」と言われていたのですが、実際にそれを体感することになったのです。

大量の赤字の入った原稿が何度も戻ってきますし、自分では自信を持って仕上げたはずの原稿が、少し時間が経ってから読み返すと、本当にひどいなと思えてきます。自分の訳に自信が持てなくなりました。

最初に赤字が入った原稿が戻ってきたときには、自分はこのクオリティで最後までやり切れるのだろうかという不安が大きくなりました。

連日、深夜2時~3時ごろまで作業しながら、「もう無理かもしれない」と思うようにもなってきます。

しかし、ジェイミーの言葉を訳していると、まるで自分がコーチングを受けているような感覚にもなるのです。原書の表紙に目をやると、「Believe It」という大きな文字と、ジェイミーの笑顔が目に入ります。

ジェイミーは、投資家から「あなたのような見た目の人から化粧品を買う女性がいるとは思えない」という言葉をぶつけられ、数えきれないほどのノーを浴びました。

それでも、自分を信じることはもちろん、ありのままの姿をさらけ出し、信念を貫き通し、自分の中にある光を輝かせた。そして、あきらめなかった人にだけ見える景色があることを本書で教えてくれています。

「ここで諦めたら絶対に一生後悔する」。何度も諦めそうになりながらも、私は、ジェイミーに背中を押してもらいながら、やり遂げることができた気がします。

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