「成績が上がらない…」に東大生はこう対処した 「何が問題か」がわからないうちは解決しない

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さて、このときにさらに意識するべきなのは、悩みのレイヤー(粒度・レベル感)を揃えるということです。

東大生の考え型』という本では、現役東大生が東大生の思考回路をフレームワークで紹介しているのですが、この本では「レイヤー思考で問題を解決しよう」ということを推奨しています。

レイヤーを揃えて分解すれば課題が見える

この「レイヤーを意識した分解」を紹介する前に、みなさんに質問です。人と議論しているときに、「全然話が噛み合わない!」ってなった経験ありませんか?

例えば、「経営しているラーメン屋の経営が厳しくなっている」という議題に対して、2人が議論したとします。

Aさん「経費を削減すべきだ」
Bさん「クーポンを配るべきだ」

この2人が話し合っても、絶対に解決できません。なぜなら、この2人は違う話を議論しているからです。

たしかに、経費を削減するのもクーポンを配るのも、経営を健全化させるための対策でしょう。

しかし、この2つは同列に語ることはできないのです。クーポンを配るのは売り上げを上げるためですから、先に話さなければならないのは「経費削減するのか、売り上げを向上させるのか、どちらを優先すべきか」です。

「経費削減」と「売り上げ向上」は同じレイヤーの話です。ですが「経費削減」と「クーポンを配る」は同列で話をするべきでないもので、話がまるっきりズレているのです。

これと同じように、悩みを分解する際には、レイヤーを意識しないとうまくいきません。共通点と相違点をきっちりと整理して、どれが同列の課題なのかを考えながら分解していく必要があるわけですね。

余談ですが、東大生同士でディスカッションをしていると、「西岡の言っていることって、レイヤーがズレてないか?」と指摘されることがあります。なんとなく議論が進まなくなってしまったタイミングでは、「1回、前のレイヤーに話を戻そうか」とファシリテーションする人もいます。いかに東大生はレイヤーを意識して思考しているかがわかりますよね。

ということでまとめると、

・悩んだときには紙の手帳やノートなどに悩みを書き留めてみる
・その際、分解して考えていくことを意識する
・分解する際には、レイヤー(つまりその事柄の粒度やレベル感)が揃うようにしてみる

この3つを実践してみると、悩みの解決法が見えてくる、ということです。

いかがでしたか? 人生に悩みはつきませんが、きちんと分解して「自分は何に悩んでいるのか」が見えてくれば、その解決ができるわけです。東大生をはじめとする頭のいい人は、こんなふうにして悩みを解決しているわけですね。ぜひ試してみてください!

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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