マツダ「2%戦略」大成功でもたった1つ残る課題 時系列分析に見たマツダのブランド戦略の課題

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マツダ購入者にアンケートを実施し、分析を行った(写真:マツダ)
マツダ購入者にアンケートを実施し、分析を行った(写真:マツダ)

製品が発売されてから寿命を迎えるまでを「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのステージに分類した、「プロダクト・ライフサイクル」というフレームワークがある。

これにのっとって考えれば、日本国内の自動車産業はすでに「成熟期」であり、もしかしたら、「衰退期」に入っているとも言えるかもしれない。

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市場が成熟し、停滞・縮小し始めると、ときに市場でのポジショニングを変える必要がある。そこで考えるのが“ブランドイメージの変革”である。ただし、ブランドイメージを変えることは簡単ではない。

まず「どの方向にイメージを変えるか」が難しいし、仮にイメージが定まったとしても、それに見合うプロダクトやサービスを「具現化できるか」も問題となる。また、新たなブランドイメージが「市場に受け入れられるのか」も考えなければならない。

これをうまくやってのけたのが、マツダだ。

「2%戦略」で共感性のある車を

マツダといえば2012年登場の「CX-5」を筆頭とする新世代商品群の登場、魂動デザイン、販売店の刷新でイメージを大きく変えたことは、よく知られているところ。リブランディングの好事例として、ビジネススクールなどでよく取り上げられている。

2012年に発売された初代「CX-5」(写真:マツダ)
2012年に発売された初代「CX-5」(写真:マツダ)

マツダは「2%戦略」と呼ぶ戦略をとっている。これは、シェア拡大を狙うのではなく、既存のファンに強く共感してもらえる「ブランド作り・車作り」を徹底的に行おうというものだ。「2%戦略」の由来は、当時のマツダの世界シェアが2%程度であったことにある。

実際にマツダのリブランディングは、自動車ユーザーから収集したデータにも表れている。ここからは、データからその事実を深掘りしていこう。データは、市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」を使用する。加えてインテージの自主調査データも活用し、別の角度からも分析を進める。

<分析対象数(Car-kit®)>
マツダ:11,731名
トヨタ:85,459名
日産:29,402名
ホンダ:48,988名
スバル:9,639名
※いずれも分析対象は2014年1月~2021年12月に新車購入者

はじめにマツダ購入者の「購入年ごとのSUV率」を見てみよう。全マツダ購入者の中で、SUVを買った人の比率だ。

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