マツダ「ラージ商品群」投入で負けられない理由 最重要市場アメリカで問われるブランドの実力
「今期は、今まで行ってきた投資と積み重ねてきた資産を活用して、成長軌道に乗せていく重要な1年だ」(毛籠(もろ)勝弘・取締役専務執行役員)
マツダの2022年度(2023年3月期)は、営業利益は前期比36.2%増の1419億円となった。上海ロックダウンに見舞われて赤字となった第1四半期から盛り返し、円安にも助けられた。今2023年度は営業利益が26.8%増の1800億円を計画している。
ただ、次期社長に内定している毛籠専務が今期を「重要な1年」と表現するのは、よくある計画達成への決意表明ではない。というのも、今期はマツダが「ラージ商品群」と呼ぶ、中大型の上級SUV(スポーツ用多目的車)を北米に2車種、日欧に1車種投入するからだ。これによってラージ商品群全4車種が出そろうことになる。
ラージ商品群には、大排気量でありながら環境負荷低減を実現した自慢のエンジンが積まれている。マツダはこのエンジンを中心とするラージ商品群の開発に少なくない費用を投じてきた。
ラージ商品群の命運を握る北米
この4月には北米でラージ商品群の〝本丸〟である3列シートの「CX-90」を発売、今年度内には2列シートの「CX-70」も投入する。北米はマツダのグローバル販売台数の4割近くを占める「最重要市場」かつ、利幅の厚いSUVがよく売れる「ドル箱市場」でもある。
つまり、マツダを「成長軌道に乗せて」いけるかどうかは、北米でのCX-90、CX-70の売れ行きが重要なキーとなる。
幸い、北米市場の立ち上がりは悪くない。中核であるアメリカの4月の新車販売台数は135.7万台と、年換算1630万台で立ち上がった(調査会社マークラインズ)。年間の新車販売台数が1416万台にとどまった前年度と比べて台数は増加基調にある。
度重なる利上げによる景気後退や銀行破綻による金融不安がささやかれるアメリカだが、半導体不足による新車不足が続いたため、足元の需要は旺盛だ。青山裕大取締役専務執行役員は「通期で1500万台が安定して見込まれる」と語っており、マツダとしても市場の崩れは織り込んでいない。
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