マツダ「ラージ商品群」投入で負けられない理由 最重要市場アメリカで問われるブランドの実力
「お客様やディーラーから、(CX-90は)高い評価と興味をいただいている」(毛籠専務)と手応えを感じている。では、ラージ商品群の前途が洋々かというとそう甘くはない。アメリカでの新車需要は底堅いとしても、金利上昇による自動車ローンの条件悪化などで、新車予算の減少が懸念されるからだ。
CX-90の価格は3万9595~5万9950ドルで、同車格のライバルと比べて決して高すぎる値付けではない。ただし、これまでマツダがアメリカで販売してきた車の中では最上位の価格帯に位置する。
後に続くCX-70にしても、マツダ車としては高価格帯となることが予想されている。価格に対する消費者の視線が厳しくなる中、〝高級なマツダ車〟がどこまで受け入れられるか。業界からは「クルマの評判はいいが、経済が悪化するこの局面での投入になるとはツイてない」という声が聞こえてくる。
問われるブランド改革の真価
近年、マツダはアメリカで「リテール・エボリューション」と銘打った販売改革に取り組んできた。過度な値引き販売を行う販売会社との契約を解除する一方、マツダブランドに共鳴した新たな販売会社と契約を結んだ。同時に販売店を改装して店舗の高級感を打ち出すなど、ブランド価値の向上に注力してきた。
結果、マツダの2022年度のインセンティブ(販売奨励金)は平均891ドル。業界平均よりも約28%低い。2019年度は約2500ドルだったので、ブランド改革が奏功した結果と評価できる。もっとも、近年は新車の供給不足が甚だしく、販売現場でインセンティブを必要としない恵まれた環境だった。
新車販売台数の拡大は供給制約が緩和されつつあるからともいえる。生産が正常化する他メーカーも新車投入の増加によって販売競争の激化は必至。CX-90、CX-70では、マツダのブランド改革の真価が問われることになる。
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