東京23区タクシー運賃「15年ぶり」値上げの実態 初乗り420円→500円、運転手採用増に期待も
「この15年間、本当に長かった。今回の運賃改定は非常にありがたい」。11月14日に東京都(23区、武蔵野市、三鷹市)のタクシー運賃が改定されたことを受け、タクシー会社大手の幹部は、ほっとした表情でそう語った。
運賃改定は2007年以来、実に15年ぶりだ。改定率は14.24%。普通車の初乗り料金の上限が420円から500円、初乗り距離は1.052㎞から1.096㎞、加算額も80円から100円、加算距離も233mから255mへとそれぞれ改定された。
コロナ禍でタクシー事業者の経営環境は大幅に悪化した。利用客の減少に加え、感染防止対策を施した車両の導入費用が経営の負担になっている。最近では燃料であるLPガスの価格高騰も追い打ちをかける。
補助金制度はいつまで続くのか
東京を地盤とする日本交通の担当者は「2~3年前と比較して、燃料のコストは2割くらい増加している」と苦渋の表情で語る。「国のLPガス補助金制度のおかげで、なんとか食いつないでいるという感じだ」(大手タクシー会社の幹部)。
ただ、頼みの綱である補助金制度がいつまで続くかは不透明で、タクシー各社は戦々恐々としている。
キャッシュレス決済の手数料負担も重荷だ。決済手段の多様化は接触を避けるニーズの高まりからコロナ禍で加速し、各社は決済機器の導入に奔走した。
全国ハイヤー・タクシー連合会の発表によると、2022年3月末時点のキャッシュレス決済の対応率(車両数ベース)は全国で90.8%となっており、最も高い東京都では99.4%を記録している。
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