マツダ「2%戦略」大成功でもたった1つ残る課題 時系列分析に見たマツダのブランド戦略の課題

拡大
縮小

「あなたが次回車を購入するとしたら、次も同じメーカーから購入したいと思いますか?」の質問に対し、「確実に同じメーカーから購入したい」と答える人の多さを見てみると、トヨタ(30%)、レクサス(23%)、メルセデス・ベンツ(21%)が上位に並ぶ中、マツダは12%と低い。先ほどのエクステリア/インテリア評価では10メーカー中トップであったのに、再購入意向になるとほぼ最下位にまで落ち込んでしまう。

メーカーイメージのポジティブな変化や、平均購入価格の上昇は、マツダの狙いに近い結果が出ているだろう。企業イメージを変えることの重要さと価値が、見て取れる。SUVモデルの戦略的な投入や統一感のあるデザインの採用を継続的にやり続け、そしてやりきることの大切さが表れているといえるだろう。

一方で、リブランディング後のマツダ車を購入しているオーナーからの再購入意向が低いことは、悩ましい。企業イメージ変革後の次なる一手が早急に必要であろう。

新世代「ラージ商品群」でブランド強化へ

マツダは2021年10月7日、『2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画を発表』と題し、スモール商品群である「CX-50」から、ラージ商品群の「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」の投入を発表し、すでに国内でもCX-60が発売されている。

2022年に発売されたばかりの「CX-60」(写真:マツダ)

その発表の中では「これらのラージ商品群では各国での電動化ロードマップに対応し、さまざまな電動化パワートレインの選択肢を提供していきます」と電動化についてふれつつ、「マツダは今後もコーポレートビジョンに基づき、クルマ本来の魅力である『走る歓び』にあふれたカーライフを通じてお客さまの人生をより豊かにし、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指してまいります」とマツダブランドのミッション・価値観・ビジョンを明確に提示している。

マツダの既存顧客は、今後も顧客であり続けるのか。ラージ商品群を通して新規顧客を獲得できるのか。 ブランド戦略と重ね合わせながら見ていきたい。

この記事の画像を見る(11枚)
三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT