国宝に中国の漆を使うと、何が問題なのか 元外資系の英国人と日本人、日本文化を語る

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成毛:アトキンソンさんによる評価の低い部分は、日本人個人でなんとかできるものではない。だから、アトキンソンさんによる法人への批判は、個人としての日本人は、なるほど、と受け入れるのではないかと思います。

成毛 眞●1955年生まれ。書評サイトHONZ代表、インスパイア取締役ファウンダー、スルガ銀行社外取締役、早稲田大学ビジネススクール客員教授、元マイクロソフト社長。雅号は半覚斎(撮影:今井康一)

アトキンソン:「おもてなしの国」について、もうひと言。昔の日本は謙虚で、おいしいものを提供しても「お口に合いますか」と言っていました。だから「おもてなしの国」だったのです。自分から「おもてなしの国」と言って威張るのは間違っています。

先日、誰かがテレビで言っていて、そうだなと思ったのですが、「俺はこんなにいい男だ」と大声で言う男の人に、いったいどんな女性が寄っていくでしょうか(笑)。

葛西:ところで、英語で“japan”といえば、漆のことだそうですね。

アトキンソン:そうです。蒔絵のことだという人もいますが、漆で間違いないと思います。

葛西:アトキンソンさんが経営する小西美術工藝社では、漆を使って文化財の復元をされています。

アトキンソン:復元ですから、元に戻さないとなりません。ところが、明治以降の復元では、中国産の漆を多用してきました。中国産を7割と、日本産を3割ほど混ぜて塗っています。これでは、偽物の復元になってしまいます。

なぜこうなってしまったのか、調査をして報告書をまとめて、いろいろなところに提出してきたのですが、これも日本の悪いところで、へりくつを並べて現状を変えようとしません。そこで、友人にその話をしていたら「わかった、人を紹介するから」と、下村博文文部科学大臣と話す機会をいただきました。そうしたら、次の日に文化庁から電話がありまして、それが、2018年4月からは国宝級の文化財の復元には100%国産の漆を使うという変更につながりました。

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