では、その活用法というのは、いったいどういうものなのでしょうか?
その答えは、東大の入試問題に表れています。例えば、これまで次のような問題が出題されています。
「あなたの気象の知識を使って、『なぜ、朝焼けは雨、夕焼けは晴れなのか』という問いに答えなさい」「なぜシャッター通り商店街は増えているのか答えなさい」「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」
東大の入試問題といえば、非常に難解で重箱の隅をつつくような細かい知識が求められる問題が出題されるというイメージがあるかもしれませんが、実際に出題される問題はそのイメージとはまったく違います。むしろ正反対と言ってもいいくらいです。
東大の入試問題は、正解にたどりつくのに必要な「知識」自体は本当に小学生レベルの最低限のものである場合も多いです。テーマとしても、大学の教科書に載っているような難しいものではなく、日常生活に立脚するありふれたテーマが選ばれます。
しかし、「小学生レベルの知識」を「上手に」使いこなすことができないと、どんなに知識を蓄えている人でも簡単に不正解になってしまうのです。
あらゆる科目で「知識を上手に使いこなす力」が必要
これは本当に、全科目共通の話です。
例えば数学では、他の大学では「いかに難しい公式を覚えているか」を問うような入試問題が出題されるのに対して、東大は真逆で、「簡単な公式でも、その公式がどのようにして成り立っているのか」が問われます。他の大学で難しい三角関数の問題が出題されている中で、東大だけは「sinとcosの定義を答えなさい」「加法定理を証明しなさい」という問題が出題されていました。
覚えている知識の量ではなく、最低限の知識でも、その知識を意味もわからず使っていないかどうか、きちんと活用できる人なのかどうかが問われるわけです。
英語でも同じです。例えば京都大学や早稲田大学などでは難解な単語やとても難しい文法を使った英文を「日本語に訳しなさい」とか「これはどういうことか、4つの中から選びなさい」というような問題が出題されます。
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