東大の入試問題が「小学生でも解ける」深すぎる訳 「求めるのは知識を使いこなす能力」東大の狙い

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試験の手応えは如何だったでしょうか。
私たちは知識の量ではなく、基本となる知識を柔軟な発想によって使いこなす力こそが大学での学びへの備えとして最も大切だと考えています。
そのような期待を込めて出題させて頂きました。
その期待にしっかり応えてくださった皆さんをここに迎え、これから仲間として共に活動できることを大変嬉しく思っています。
出所:東京大学ホームページ

「知識の量ではなく、基本となる知識を柔軟な発想によって使いこなす力」という言葉は、僕にとってとても衝撃的でした。

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というのも、この概念は今まで僕が考えていた「勉強」というものの定義とかけ離れていたからです。

僕は小学校でも中学校でも高校でも、「知識の量」を増やすための勉強をしていました。英単語帳を何周もして暗記し、漢字の書き取りをし、数学の公式を暗記し、歴史の年号や化学の公式を覚えて、定期テストで赤点を取らないように努力する……そんなことの繰り返しが「勉強」だと思っていました。

多くの人にとっても、勉強ってそういうものだと思います。とにかく覚えるのが勉強であり、その知識の量が測られるのがテストであり、入試問題である、と。

東大の考える「勉強」という概念

しかし、東大の考える「勉強」という概念は、そういうものではないそうなのです。

東大のアドミッションポリシーにも、これと同じ話が載っています。東大の公式ホームページの「受験生に求める能力」のところに、こんなことが書かれているのです。

「知識を詰めこむことよりも、持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視します」

つまり、知識量や知識を詰め込むだけが「勉強」ではなく、たとえ少ない知識であったとしても、その「活用法」を学ぶことこそが「勉強」だと東大は考えている、ということです。

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