そして、もうひとつ。仕事が一番大切だと思っているのに、その結果がうまく出ない人も普通にいます。人間には、向き、不向きがあるのです。
毎年、高校野球ではユニフォームを着たまま、ベンチではなく、応援席で叫び続ける野球部員がたくさんいます。彼らは、努力をしなかったのか。練習に手を抜いたのか。そんなことはないはずです。彼らも死に物狂いの努力をしたはずです。
でも、力が及ばないことは普通にあるのです。彼らに向かって「ふがいない」とか「もっと努力しろ」「ベンチ入りできないお前は恥ずかしい」とは口が裂けても言えないと僕は思っています。本人が自分自身を責めることはあっても、他人が口にする言葉ではないのです。
世間的な評価が低い会社に就職したことが嫌だとしても、それを責める資格があるのは、勤めている弟さん本人であって、兄ではないのです。
仲良くすることは、いったん、あきらめる
さて、有閑人さん。有閑人さんは、自分の価値観を強く信じ、それを周りに対して、意識的にも無意識的にも押しつけてきた、それが、弟・妹・妻があなたを避ける原因になっている、ということは、なんとなく分かってもらえたでしょうか。
でね、有閑人さん。「どうしたら、弟たちと仲良くできるのでしょうか」と書かれていますが、有閑人さんは66歳ですから、弟・妹さんがいくつであれ、たぶん、最長50年以上、そういう関係だった可能性があります。奥さんとも、最長で40年前後ですか。
この長い時間で、彼ら、彼女らには、有閑人さんのイメージがしっかりと出来上がっていますから、関係を変えるのは、かなり困難だと思います。
何度か会って「今まで、偉そうにして本当にすまなかった」とか「お前たちを見下したような言い方をして反省している」と言っても、相手はちゃんと受け止めてくれないと思います。
僕のアドバイスは、「まずは、対等な人間関係を学習しませんか?」ということです。
弟・妹さんと仲良くすることは、いったん、あきらめて、他に人間関係を作るのです。見下すことも、見下されることもない関係の先に、有閑人さんが求める「心を割って話せる友人」が生まれる可能性があるのです。
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