ティモンディ高岸をプロ野球に導いた会社の正体 野球人を「人材」と捉えて活用するビジネスモデル

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高岸宏行(写真:栃木ゴールデンブレーブス提供)

「高岸宏行さんの入団は、突然のように思うかもしれませんが、2年前にYouTubeでうちの成瀬善久兼任コーチ(元ヤクルトなど)と3打席対戦というコラボ企画をしたのがきっかけで、以後、コンタクトし続けてきました」

栃木ゴールデンブレーブスの江部達也社長は、こう切り出した。

「弊社は、有名、無名問わず野球人を受け入れ、いろんな部署で活躍していただいています。グループ全体では20数人になるでしょうか。そういう人脈があって、村田選手、西岡選手、川﨑選手、高岸さんが来たという流れです。エイジェックグループを選んでいただけるのは、うちが野球人を“人材”と捉えているからでしょう。だからセカンドキャリアなど人材活用する方策をつねに考えているんですね。

例えば、エイジェックグループは野球アカデミーを運営していて、生徒さんが300人くらいいるのですが、指導者はほとんど元プロの野球人が担当しています。昨年からは社会人の男女、中学男子の硬式野球チームに加えて、中学女子のユースチームもスタートしました。さらに、大人向けにTPA(トレーニング・プロフェッショナル・アカデミー)も設置しました。こうした幅広いカテゴリーを指導する人材として、元野球選手に期待しているんですね。

ありがたいことに、私どもに来ていただく元プロの方はプレーやファンサービスなどでも若手の模範になっています。私どもの考え方、理念を理解してくださっているからだと思います。ルートインBCリーグにはサラリーキャップ制度があるので、お支払いできる報酬には限度があるのですが、それを理解したうえで一生懸命頑張ってくださいます。

今年の高岸さんの場合、元プロ選手ではないので、少し事情が違いますが、高岸さん独特の一生懸命さとか、ひたむきさをファンの方々に伝えることができて、わずか3週間ですが、本当に良かったなと思います」

コロナ禍で半分以下に減った観客動員への対策

栃木は、2019年には6万人近くを動員、1試合当たり1400人は、独立リーグでは断トツの1位だった。しかしコロナ禍で半分以下に減った。栃木としてはどんな方策を考えているのか?

「もちろん、マーケティングを強化しなければなりませんが、地域全体での野球振興も重要です。2年前に『栃木県野球協議会』を立ち上げたんです。JABA(日本野球連盟、アマチュア野球団体)、県高野連、中体連、ボーイズリーグなど県内の野球団体は13あるんですが、こうした団体に加盟いただいて、連携しながら地域の子どもたちなど県内の野球振興を考えていこうとしているんですね。栃木ゴールデンブレーブスは『県民球団』ですから、野球の垣根を越えた県全体の振興策を考える中で、球団としてのビジネスを考えていきたいと思っています」(江部社長)

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