今年の野球独立リーグでの最大の話題は、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスにお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行が入団し、公式戦で投げたことだろう。もともと愛媛県の強豪、済美高校、東洋大学で野球をしていた高岸は、故障するまではNPBのスカウトも注目したという逸材だった。
高岸が公式戦初登板した8月14日の対埼玉武蔵ヒートベアーズ戦は、今季リーグ最多の5021人が入場した。またテレビメディアも駆けつけ、大きなニュースとなった。
栃木ゴールデンブレーブスは2018年には元巨人の村田修一が入団、古巣巨人の3軍との交流戦は「男・村田祭り」と銘打って多くの観客を集めた。また2019年には元阪神の西岡剛、2020年には元ソフトバンクの川﨑宗則と、NPBのスター選手と次々と契約、大きな話題を振りまいてきた。
有名選手を獲得するだけでなく、栃木は話題性のあるプロモーションを展開し、多くの観客を集めている。今、日本の独立リーグ球団は30あるが、その中で栃木は観客動員、売り上げの両方でつねにトップクラスだ。
【2022年10月4日18時48分追記】初出時、出身校に誤りがあったため、修正しました。
「野球」を前面に打ち出した事業展開
栃木ゴールデンブレーブスは、人材関連企業であるエイジェックを中核とするエイジェックグループの一員だ。一方で同グループは、9月に注目すべき記者発表も行った。
ボーイズリーグ、リトルシニアリーグ、ヤングリーグ、ポニーリーグ、フレッシュリーグという日本の主要少年硬式野球リーグ5団体をエイジェックが後援するとともに、真の中学日本一チームを決める「エイジェックチャンピオンシップ」(仮称)を新設するというものだ。
日本の野球界は各カテゴリーで団体ごとの「障壁」が高い。少年野球もそうで、違う団体同士の交流試合には連盟本部の証人がいる。今回の取り組みはリーグが違っても「同じ野球をする仲間」としての一体感を醸成していくのが目的だ。
エイジェックの古後昌彦社長は、「初の5団体共同での大きなイベントをサポートしていきたい。そして、子どもたちの夢の応援をしたい。今までにない協力関係のもと、真剣勝負で、子どもたちの成長、そして将来に向けた礎を築くことができれば」と語った。
筆者は日本の野球界の現状についての取材を続けてきたが、率直に言って「不景気な話」のほうが圧倒的に多い。女子を除くすべてのカテゴリーで競技人口が減少し、大会運営に支障をきたすようになってきている。
そうした中で、同グループは「野球」を前面に打ち出して、さまざまな事業を展開している。そのビジネスモデルはどのあたりにあるのか。グループの2人の幹部に話を聞いた。
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