仲間を解剖した人間へ抗議?アザラシの凄い行動 アザラシが亡くなった翌日に起きた不思議な事

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当時、同じプールにはたくみくんより推定1歳年上のワモンアザラシのかつのりくんがいたのだが、たくみくんはかつのりくんとではなく、海くんとばかり追いかけっこをして遊んでいた。

たくみくん(左)と海くん(右)のお昼寝(筆者撮影)

アザラシにも相性があるのだろう。たくみくんと海くんはどちらかの給餌中、もう一方が遊びの誘いにくることもしばしばで、誘われた方がトレーニングを途中で放り出し、遊びにいってしまうこともあった。2頭のあいだには種を超えた友情がたしかに存在していた。

たくみくんは他のアザラシに対しても、とても愛想が良かった。新入りのアザラシがプールへ入ってくると、興味をもって自ら近づき、相手と吻をあわせて挨拶をする。とても面倒見のいいお兄さんだった。

たくみくんは人に対してもかなり心を開いていたのか、体調が悪くなるとそれをあまり隠さなかった。吻がパンパンに腫れ上がった時も、原因不明で餌を食べなくなった時も、もう駄目かと思うほどぐったりしていたが、そのたびに回復していた。

4歳で亡くなる前にも少しだけ持ち直した時期があり、そんな奇跡を願っていたのだが、それは叶わなかった。

亡くなった翌日に起きた不思議なこと

たくみくんが亡くなった翌日、不思議なことが起きた。朝、いつものように給餌しようとするが、アザラシたちが全然広場へ出てこない。食欲はあるのだが、広場には出たくないという感じで、朝から広場へ出てきたのは、21頭中2頭だけだった。

アザラシたちが広場に出てこなければ、「えさの時間(給餌解説)」はできない。やむを得ず、その日はプールのフェンス越しにアザラシを見せながら給餌解説を行ったのだが、10年間勤めていて、理由なく「えさの時間」ができなかったのは、あとにも先にもこの時だけである。

一年中食欲旺盛で、繁殖期でさえコントロールできる唯一の個体も、その日の朝は広場に出てこなかった。午後になると、コントロールは悪いものの広場に出てくる個体が増え、なんとか「えさの時間」を広場で実施することができた。

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岡崎 雅子 元アザラシ飼育員

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おかざき まさこ / Masako Okazaki

1986年、神奈川県生まれ。水瓶座のAB型。日本大学 生物資源科学部 獣医学科卒業。幼少期からのアザラシ好きが高じて、北海道紋別市にあるアザラシ専門の保護施設「オホーツクとっかりセンター」で念願の飼育員になる。10年間の飼育員生活のなかで出会ったアザラシは69頭以上、そのうち38頭の保護に携わる。アザラシが前肢で顔をぬぐう仕草が好き(ぎりぎり顔に届くくらいの短い前肢が愛おしい)。好きなアザラシの部位は顔(表情がとても豊か)と、脇の下(柔らかくて触り心地が最高。脇の下をフニフニしている時に、その手を前肢でギュッと握られるのが至福)。著書に『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』(実業之日本社)がある。

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