出世欲が消えた!人生を変えた「40歳婚」 自分時間ゼロになっても、もはや悔いなし

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「合コンそのものよりも男だけの反省会のほうが盛り上がりましたけど、成果がゼロだったわけではありません。35歳のときに同い年の女性とお付き合いすることができました。出身大学も同じで、性格もすごくいい。当然、お互いに結婚を意識しての付き合いでした。

でも、半年後に僕が振ってしまったんです。彼女がいい人すぎてケンカをしたり冗談を言えるような関係になれず、僕が疲れ果ててしまったからです。『こんなにいい人を振ってしまったオレはもう結婚できない』と思いましたね」

俳優の阿部寛とお笑い芸人のワッキーを足して2で割ったような濃い顔で、背も高くてスタイルもいい恭一さんであるが、話し始めると完全な三枚目である。自虐ネタを披露して周囲から激しく突っ込まれるのを、つねに心待ちにしているのだ。ボケをスルーされたり真正面から褒められたりすると、居心地の悪そうな表情になる。「いい人が相手だと素が出せない、疲れる」というのは正直な感想だろう。

報道記者の同僚女性との恋

結婚をあきらめた恭一さんに、突然、ロマンスの機会が訪れる。40歳のときだった。相手は恭一さんと同じ報道局で働いていた8歳年下の紗智子さん(仮名)。恭一さんは定期的に職場を異動する正社員であり、紗智子さんは異動のないフリーランスの記者だ。3年間一緒に働いていたが、2人で食事に行ったりすることはなかった。

「僕が総務部に異動になった後で、たまたま会社の階段ですれ違ったんです。久しぶりだから今度飲みに行きましょう、という話になって、青山のお店に連れて行きました。女性と飲む機会があれば予約する素敵な店です。2年前に潰れてしまいましたけど……」

会話は思いがけず盛り上がり、終電を逃しそうになってしまったとうれしそうに当時を振り返る恭一さん。何を話したのか、紗智子さんのどこが好きになったのか、具体的に覚えていない。とにかく「またすぐに会いたい、一緒に飲みたい」と強く感じた。これこそが恋愛の初期段階だと僕も思う。

幸いなことに紗智子さんも同じ気持ちだったようで、1カ月後に再び飲みに行ったときに付き合うことになった。しかし、2人はいきなり試練に直面する。紗智子さんの母親が末期がんであることが判明したのだ。

「彼女の家族は絆がとても強いので、お姉さんと2人で一生懸命に看病していました。仕事も続けながらなので、僕と飲みに行けるのは月に1回ぐらいでしたね。最後の半年間は『お母さんに残っている時間は一緒にいてあげたい。もう会えない』と言われてしまって……。僕たちは終わりかなと思っていたのですが、お母さんが亡くなってから再会して、元どおりになりました」

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