ベネッセもマック化?前のめりの原田流経営 早くも社内から不協和音が聞こえ始めた
PR方法以上に社内に衝撃が走ったのは、ベネパの発表会見で原田氏が「進研ゼミはベネッセの成長を支えていく第一のドライバーではない」と言い放ったことだ。
ある学習塾大手の首脳は、ベネッセの古参幹部にこう打ち明けられたという。「原田さんは次々に過去のビジネスモデルを否定し、自分のやり方を打ち出してくる。とてもついていけない」。こうしたベネッセの現状は、かつてのマクドナルドと重なる。
原田氏といえば、マクドナルド時代に100円メニューの充実やメガマックの導入などで新規の客層を開拓。06年度から6期連続で営業増益を達成した。
一方、「ピープル・ビジネスを強固にした」という冒頭のコメントとは裏腹に、人員削減や降格人事を頻繁に行い、経験豊富な人材が大量に会社を去った。結果、現場のオペレーション力が低下し、現在の低迷の遠因になった、との声は外食業界でよく聞かれる。
相次ぐ集団訴訟も逆風に
折しも年明け以降、ベネッセは複数の情報漏洩被害者団体から、500円の金券によるお詫びでは不服として、損害賠償請求訴訟を提起されている。合計した賠償額は数億円程度。過去5年平均で200億円前後の純利益を稼ぎ出したベネッセにとっては、仮に敗訴したとしても痛い金額ではないかもしれない。
それでも原告の数が増え続ければ、そのたびに報道や口コミで情報は広まっていく。通信教育の会員募集には痛手だ。
1月29日に原告約1800人で第1次訴訟を提起した「ベネッセ個人情報漏洩事件被害者の会」の原告代理人弁護士を務める松尾明弘氏は「最終的に原告は1万人程度まで増えそう」と見通す。その背後には「500円の金券で既存の顧客に誠意を示したとするベネッセの対応への不満がある」と松尾氏は見る。
マクドナルド時代の経験を糧に、新商品による収益増とともに、既存商品・既存顧客網の立て直しという難題も解決することができるか。プロ経営者・原田泳幸の真価が試される。
(「週刊東洋経済」2015年3月7日号<2日発売>「核心リポート03」を転載)
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