ベネッセもマック化?前のめりの原田流経営 早くも社内から不協和音が聞こえ始めた
その第1弾が2月7日に発表した、新機軸のオンライン学習プログラム「BenePa(ベネパ)」だ。ローソン店頭でプリペイドカードを購入すれば、個人情報の入力は不要。「進研ゼミ」では取り込めなかった顧客層との接点を増やすのが狙いだ。
ベネパお披露目の6日後には、第2弾となる、進研ゼミ会員向けのiPad専用アプリ「デジサプリ」を発表。従来の紙の教材では対応できなかった、先取り学習や復習の仕組みをデジタル教材で無償提供し、退会率の改善を狙う。
通信教育事業は目下、二つの課題を抱える。新規入会の落ち込みと継続率の低下だ。在籍者数は毎年、4月がピークで月を追うごとに減っていくが、ピーク時の在籍者数と10月時点での継続率はここ数年低下している。
ベネパとデジサプリは、この二つの課題にメスを入れるもので、理にかなった策だ。問題はPR手法である。
アピールすべきはデジサプリなのに…
ベネパの発表会場はベネッセが全国で設置を進めている戦略拠点の総本山「エリアベネッセ青山」。原田氏自らが演台に立って戦略をPRした。記者会見後には、土曜日の東京・青山の街頭でビラをまき、積極的に売り込んだ。
これに対し、デジサプリの発表会場は、東京・丸の内にある貸し会議室の一室。ベネパと比べると、集まった報道陣もわずかだった。
PRの方法だけで売れ行きが決まるわけではないが、発売当初の認知度には格段の差が生まれる。この売り込み方だと、新規加入数は増えたものの継続率は高まらないまま、という事態も起こりうる。
ベネパは原田氏周辺の一部の社員たちで極秘裏に開発・広報戦略の立案がなされたという。こうした状況に対し、社内からも「より深刻な課題は継続率の低下であり、本来ならデジサプリのほうをアピールすべきだった」、という声が聞かれる。
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